11月5日、アップル社が米国特許商標庁に申請していた38もの特許を一気に取得しました。
そのなかにはApple Watchの将来モデルがユーザーの血圧や心不全の兆候を感知する機能を備える可能性を示唆する新技術に関するものも含まれていることを、アップル社の特許申請を追跡する専門ウェブサイト 『Patently Apple』が明らかにしました(*1)。
*1. Patently Appleの記事(英語):
Apple Watchの健康関連機能がますます充実していることは、もはや目新しい話題とは言えないのですが、今回のニュースがとくに注目される理由は、新たな可能性がApple Watchそのものではなく、手首に巻くバンドにあることです。
その「伸縮性バンドを備えた布地ベースのアイテム」に関する特許は2022年にアップル社から申請されたものです。バンド素材にセンサーを埋め込むことで、ユーザーの体にぴったりとフィットし、血圧や心電図(ECG)の読み込みが可能になるということです。
血圧は一般的にも需要の高い健康指標ですし、ECG データは心房細動など心不全の兆候を把握することに役立ちます。Apple Watchでそうしたデータがより正確に、そして24時間ベースで取得できるようになるとすれば、それはユーザーにとって大きなメリットになるはずです。
そうなると好みの色に新調したApple Watch用バンドはどうなるのか?と気にかかる人もいるかもしれませんが、「スマートバンド」は必ずしも腕時計用に限るというわけではないようです。バンドを胸部、腰、あるいは上腕部などに巻く方法も考えられるからです。あるいはバンド形状にこだわらず、衣服の素材に適用することさえも可能かもしれません。
Patently Appleの記事では、このスマートバンド素材を発明した研究グループにダニエル・ポドハニ氏という人物が含まれていることに注目しています。ポドハニ氏はかつてナイキ社でいくつかの特許に関わり、そのなかには伸縮性と通気性に優れた「Nike Flyknit」と呼ばれる独自の素材が含まれているとのこと。
この特許が実際の製品にどのような形で活用されるか、それまでにどれだけの時間がかかるか、現在は多くのことが不明のままです。それでも、きっとユーザーにとって使い勝手の良い、そして利用価値の高い機能がアップル社製品に加わるだろうと期待してよさそうです。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani