夏の暑さが和らぎつつ、本格的な冬を迎える前の今は、登山などのアウトドア・アクティビティに最適な季節。
そんな時期に発売された注目のスマートウォッチが、日本でも人気の高いスマートウォッチのグローバルブランド・Amazfitの「Amazfit T-Rex 3(アマズフィット ティーレックス スリー)」です。
このモデルは標準的な使用で27日間という超ロングバッテリーを備えつつ、アウトドア・アクティビティ関連の機能も多数装備。
アメリカ軍MIL規格準拠のタフネスデザイン、コンパス、気圧高度計などを備えつつ、等高線が表示された地形図など、3種類のオフラインマップもダウンロード可能。
そして、YAMAP(ヤマップ)やヤマレコで作成したGPXデータ等を取り込めば、登山中も現在位置やルートを確認しながら利用が可能です。
また39,900円(税込)というアウトドア・登山向けスマートウォッチとしては手軽な価格も魅力で、ライバルと目されるApple Watch UltraやGalaxy Watch Ultraの半額以下!
それでいて、独自AIによる音声入力機能など、日常使用のスマートウォッチとしても便利な機能を幅広く備えています。
そこで本記事では、実際に登山でも使用してみながら、本モデルを徹底レビューします!
なお本製品はブランド側から貸与を受けていますが、広告記事ではありませんので、感想は率直にお伝えします!
レビューするモデルはこちら
Amazfit T-Rex 3
カラー:オニキス、ラバ(※11 月以降の発売予定)
39,900円(税込)
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主要な機能を一覧表でチェック
当サイトが使用しているスマートウォッチの主要機能表を使い、本モデルに搭載されている機能をチェックしてみました。
緑色の部分が搭載している機能で、色のない部分が未搭載の機能です。
注目は、一番下段の運動系機能の豊富さ。
アウトドア向けモデル以外にはなかなか搭載されない気圧・高度計を搭載しているほか、衛星測位システムはGPSなど6種類に対応。
10ATM(気圧)防水グレードに対応しており、45メートルまでのフリーダイビング認証を取得しています。この防水性も一般的なスマートウォッチにはない性能といえます。
このリストにないものだと地磁気センサー(コンパス)も備えており、登山やトレイルランニングなどに非常に向いているモデルだと分かりますね。
一方で日常の機能に目を向けると、Amazfitはブランド全体がSuica等の支払い決済機能には未対応。
またAndroid系のOSではなく独自のOSを積んでいるため、スマホのように多種多様なアプリをダウンロードすることもできません(独自OSのアプリはありますが、バリエーションはかなり少なめです)。
スピーカーもないため通話機能も備えておらず、Alexaにも未対応ですが、独自のAI音声操作サービス「 Zepp Flow」で、時計に話しかけて操作をすることは可能。
またスマホの音楽を再生・停止できるだけでなく、本体に音楽を保存することも可能です。
健康系の機能は心拍計測や睡眠計測はもちろんのこと、体表温度や血中酸素濃度の計測も可能となっています。
スピーカーを使う機能や決済機能などを除けば、スマートウォッチに一般的な機能はしっかり網羅しているモデルといえるでしょう。
登山でも10数%程度しか減らないバッテリー性能
みなさんが気になるであろう、バッテリーの持ち具合についても、公式発表のデータと、実際に使用したときの減り具合をお伝えします。
ブランド公式のデータだと「標準的な使用:27日」という驚異的なロングバッテリーを誇っており、ハードな使用でも13日の連続使用が可能とのこと。
そのほかGPSを連続使用しても1日以上持つなど、下記のような各種のロングバッテリーを備えています。
バッテリーセーバーモード:40日
時計モード:81日
精度 GPS モード:42時間
省電力 GPS モード:72時間
耐久 GPS モード:180時間
超低温(GPS オン):28時間
超低温(GPS オフ) :32日
で、実際に使用してみた感じがどうだったのかというと、ごく普通に日常使用する形だと、バッテリーは1日で5%程度しか減らない日もありました。
つまり20日程度はバッテリーが持つ計算です!
画面を常時表示にしたりと、バッテリーを食う設定にしても1日で10%も減らない感じだったので、10日程度はバッチリ連続使用できると考えていいでしょう。
また詳しくは後述しますが、登山で位置測位システムをオンにして3~4時間ほど使用したときも、バッテリーは10数%しか減らなかったので、長めの登山やトレイルランニングでもガシガシ使える性能といえるでしょう。
なお公式のスペックを見るとバッテリー容量は700 mAh(標準値)と、Apple Watchの通常モデルのような一般的なスマートウォッチの倍以上の容量があり、「そりゃあバッテリーも持つな」という印象を持ちました。
なお、そのぶんフル充電には約3時間と結構な時間がかかります。
いざ開封!
パッケージや同梱されているものも確認してみましょう。
同梱品は時計本体(純正バンド含む)、専用充電ベース(ケーブルなし)、取扱説明書。
新しいなと思ったのは、充電器が時計裏側に接続する専用充電ベースのみで、Type-Cケーブルは自分で用意するのが必要なこと。
下の写真が専用ベースで、非常にコンパクトなのが分かります。
いろいろガジェットを持っている人なら、Type-Cケーブルは必ず1本は持っているはずなので、不自由はしないはずですし、むしろケーブルがゴチャゴチャしないで使いやすいと思います。
登山などに持っていったときも、手持ちの別のケーブルで使えるのが便利ですね。
ペアリングは専用のZeppアプリをスマホにダウンロードすれば、特に苦労もすることなく行えました。
なおiPhoneでもAndroidでもペアリングは可能です。
見た目をチェック
見た目や素材もチェックしていきます。
八角形のダイヤモンドデザインをもつベゼルはステンレススチール素材を使用。
ディスプレイの周囲やボタン部分などはしっかり金属で保護されている印象です。
その他の部分はポリマー製になりますが、Amazfit T-Rex 3 は、アメリカ国防総省制定のアメリカ軍の資材調達に関する規格MIL規格(ミルスペック)をクリア。
MIL規格の「MIL-STD-810G」に記されている「耐久性」における基準(規格)として、過酷な環境条件に即した実験室で「低圧」、「極端な高温(最大 70℃まで)」、「極端な低温(最低-30℃まで)」、「熱による衝撃」、「湿度」、「振動」、「衝撃」、「液体汚染」、「着氷性/凍結性降雨」といった9つの規格をクリアしています。
なので、雪が降るような冬山でも、灼熱の砂漠でも使用が可能というわけです。
タッチスクリーンにもゴリラガラスが採用されています。
サイズは約48.5×48.5×15.85mm(心拍ベース含む)。
Apple Watch Ultra(49mm)とほぼ同じ大きさなので、やはりアウトドア向けの大画面モデルだとわかりますね。
重量は約68.3(バンド含む)/約49g(バンド除く)と重めなので、日常使用を考えている人はその点も注意しましょう。
視認性の高いディスプレイ
ディスプレイはHD(High Definition) AMOLEDでサイズは 1.5インチ。ほか、
・解像度 480×480
・PPI 322
・最大2,000nits の輝度
というスペックが公開されています。
「砂漠の太陽の下でも、街の街灯の下でも、月明かりの下でのキャンプでも見やすい」と公式サイトでも書かれていましたが、実際に非常に見やすいディスプレイと言えるでしょう。
また、新しくグローブモードを搭載し、厚さ2mm 未満であればグローブをつけたままで操作可能となっています。
バンドは液状シリコン素材。
アウトドア向けのモデルらしく、表面に凹凸やデザイン性のあるカッコいいバンドになっています。
操作感をチェック
操作感もチェックしていきます。
物理ボタンは4つで、左側の2つはUPとDOWN。つまり画面の選択肢の上下動の操作ができます。
そして右上が決定ボタンで、右下が「戻る」ボタンとなっています。
タッチディスプレイでの操作もできますが、アウトドアの環境下では、こうしたボタンでの直感的な操作がより便利になるでしょう。
スワイプでの操作も軽快で、
右から左→アプリ一覧
左から右→通知一覧
上から下→コントロールセンター(各種設定)
下から上→ショートカットカード(よく使うアプリなどを表示できる画面)
が素早く表示できます。
下の画面が「ショートカットカード」です。
下の画面が「アプリ一覧」の表示になります。
最近のスマートウォッチでは、左右のスワイプで「タイル」などと呼ばれる各種アプリの画面が表示されるモデルが多いですが、そうした仕様になっていない部分がアウトドア向けのモデルだなと感じます。
なお、アプリ一覧やショートカットカードで表示するアプリ、機能などは自由に並び替えや追加・削除が可能です。
日常の機能をチェック
日常で使う機能をチェックしていきます。
まずウォッチフェイスについては400種類以上のものをダウンロードして設定可能。
アウトドア向けの指標(気圧、天気など)が多く表示できるウォッチフェイスも多く、男らしくカッコいいものが多いです。
なお、ウォッチフェイス中に表示する機能やアプリも一部でカスタムが可能ですが、選択肢に音楽再生やタイマーがなかったりと、日常使用向けの高性能モデルと比べると、カスタムの自由度は低めに感じました。
またAmazfit T-Rex 3 は、米OpenAI社の大規模言語モデル(LLM)「GPT-4o」を統合したLUI(Language User Interface)をサポートするAI音声操作サービス「 Zepp Flow™」が利用可能。
音声操作(話しかけることで操作)が可能になりっています。
タイマーを設定したり、天気を聞いてみたりしましたが、聞き取りの精度は上々。
ただし、Apple WatchやPixel Watchなどと比べると反応速度は遅めに感じました。
スマホの通知は、メールの内容も冒頭部分が読めたり、各種通知の概要が画面上で分かるのがポイントが高いです。
大画面で見やすいので、情報もしっかり読み取れます。
天気なども非常に見やすいのが良いですね。
スマホの音楽の再生・停止や、カレンダーの予定のチェックなどもできますが、ペアリングしたままの状態だと、アプリ一覧やショートカットカードから、目的のアプリを探すのに時間がかかります。
よく使うものは見やすい位置に設定しておくとよいでしょう。
健康の機能をチェック
健康関連の機能も確認してみましょう。
健康の機能では、心拍数/血中酸素レベル/ストレスレベル/皮膚温度の24時間モニタリング が可能。
計測頻度も変更が可能で、自分が設定した数値よりも上がりすぎ、下がりすぎたときに通知をしてくれる機能もあります。
また、心拍数/血中酸素レベル/ストレスレベルなどはワンタップで手動測定も可能となっています。
睡眠計測を含めて各種のデータは時計の画面上でも見れますが、スマホのアプリのほうが見やすいので、そちらの画面をチェックしてみましょう。
スマホのアプリの画面がこちら。
睡眠や心拍数などのデータから、身体やメンタルの回復具合などを表示してくれる項目もあります。
筆者は先週、心も身体も疲弊しきっていて、日中も仕事をする気が全然起きない状態だったのですが、そのときは実際に「メンタル」の数値が50近くまで落ち込んでいました。
このときは、仕事を休んでスーパー銭湯に行くことで、心と体が徐々に回復していったのですが、そうした心身の状態をモニタリングするデバイスとしても、本モデルは有能だと感じました!
そのほか心拍数の変動や安静時心拍数、睡眠の各種データも表示されます。
睡眠計測のデータは非常に詳細。
レム睡眠を含む睡眠ステージごとの時間や、睡眠中の心拍数、呼吸速度などもグラフにして表示してくれます。
そのほか本モデルには「PAI」という運動データなどをもとにした健康評価システムがあるほか、「
呼吸エクササイズ」「生理周期トラッキング」「座り過ぎのリマインダー」などの機能もあり。
アウトドア向けのモデルですが、健康機能も非常に充実したモデルといえるでしょう。
運動の機能をチェック
ワークアウトなどの運動関連の機能も確認してみましょう。
スポーツモードは 170種類に対応。
ウルトラマラソンやトライアスロンから、ハンティングやフィッシングまで、幅広いワークアウトモードを選べます。
実際にランニングを計測中の画面はこちら。
経過時間、距離、心拍数などのリアルタイムのデータを見られるほか、画面をスワイプすると平均ペースやケイデンス、消費カロリーなどが分かります。
そして地図上の位置情報も分かりますし、手元で音楽の再生・停止の操作も可能。
ラップタイムの計測などもできますし、ランニングに使うスマートウォッチとしても、手元で分かること・できることは非常に多いといえます。
実際に計測した結果がこちら。
位置情報はしっかり記録してくれていますし、心拍数や心拍ゾーンごとの割合、平均ペース、高度の変化などは詳細なグラフで見ることができます。
ランニングの能力の目安となるVo2Max(最大酸素摂取量)も計測できますし、回復時間、トレーニング効果なども分かります。
登山やトレランで使える機能を紹介!
まずはベースマップをダウンロード
では最後に、登山などのアウトドアで使える機能を紹介しながら、実際に使ってみた感想をお伝えします。
まず本モデルは下記の3種類のオフラインマップがダウンロード可能
なおランニングやウォーキングなどで使用するベースマップは、Googleマップほどお店や駅などが分かりやすく表示されるマップではなく、操作もスマホと比べると不自由なため、「あくまで運動中に見るマップ」「現在位置が分かるマップ」程度に考えておきましょう。
●ベースマップ
ランニングやウォーキングなどで使用する、道路や基本的な地形が表示されたマップ。
●スキーマップ
世界10,000箇所以上のゲレンデに対応し、ウォッチ上でスキー場のコースを表示するマップ。
●コンターマップ
登山やトレイルランニングなどで使用する、等高線が表示された地形図。Amazfit T-Rex 3 のディスプレイで等高線を確認できるため、スマホで使っている地図アプリに近い使用感で使用することが可能。
地図はいずれもWi-Fiを接続してダウンロードするので、ワークアウトや登山に出かける前に自分でダウンロードしておくことが必要。
自宅周辺や、登山などで出向く先の地図は前もってダウンロードしておきましょう。
YAMAPやヤマレコで作成したGPXデータが使えるナビゲーション機能も使用
登山中に等高線が表示された地形図が見れるだけでもありがたいですが、Amazfit T-Rex 3 は、ダウンロードしたオフラインマップ上でインポートした登山ルートをナビゲーションする機能を搭載。
YAMAP(ヤマップ)やヤマレコで作成したGPXデータ等を、Zeppアプリ経由でインポートし、リアルタイムで表示しながら、ナビゲーションすることが可能です。
取り込みの方法は文字で説明するとややこしいですが、下記の公式動画を見ながら、その手順通りにアプリを操作すれば、10分ほどで自分で作成したルートをAmazfit T-Rex 3に取り込めると思います。
実際に登山で使ってみた!
筆者は埼玉県飯能市の天覧山~多峯主山(とうのすやま)の登山で使ってみました。
まず自宅で、スマホのヤマレコでスタート地点の飯能駅~多峯主山~飯能駅まで迎えるバス停のルートを作成。
そのGPXデータを取り込んでおいて、現地に向かいました。
そしてスタート地点の飯能駅から計測を開始。
最初は駅から登山口まで街中を10数分歩きましたが、曲がるべき地点の手前に来るとピピッと時計が鳴って、どこで曲がるかを教えてくれるので、非常に便利に感じました。
登山口に到着し、実際に登山をスタート。
ちなみにスマホの「ヤマレコ」のアプリも同時に動かしていたのですが、こちらは3時間程度の登山でもバッテリーが20%程度まで低下するほど、バッテリーを食ってしまいました。
一方のT-REX 3は先述のように下山したときも10数%しかバッテリーが減っていなかったので、まずバッテリーのもちの良さが非常に頼りがいがあると感じます。
もちろん詳細な地図を見るのに時々スマホを取り出していましたが、「スマホを出さずとも大まかな地図や向かう方向が分かる」というのがスマートウォッチで使う地図のメリットといえます。
また、時計上では地図のほかに経過時間やリアルタイムの心拍数、現在の高度などなど様々なデータが分かるのですが、便利だと思ったのは、ルートを取り込んで置くとスタート~ゴールまでの標高の推移がグラフ化され、「この先にどのくらい登るか・下るか」が視覚的に分かるということ。
上の写真は山頂で撮影したものですが、「これからはゆったり下ったあとで、なだらかな下りになってゴールに着くんだな」と分かります。
逆に山頂近くに向けて登っているときは「これからは急な登りがあるな」ということも手元のグラフで分かったので、先に休憩して身体を休めることもできました。
なお、GPSの精度はおおむね正確な印象。
ときどきルートからズレているように感じるときや、身体の向いている方向とズレているときもあると感じましたが、静止して数秒もすると正確な情報に戻る印象でした。
また本モデルは、目的地までの道順を矢印で示すターンバイターンナビゲーション機能も搭載しており、分岐があるときなどは方向の把握に便利だと感じました。
また、明らかにルートから外れた方向に進んでいるときは、ピピッと音が鳴って、正しい方向へと誘導してくれました。
……といった形で、登山中も本モデルは便利に使える場面が盛り沢山!
もちろんスマホの地図や紙の地図のほうが便利かつ正確な場面も多くあると感じますが、
・スマホや紙の地図を取り出す回数が減り、無駄に立ち止まる回数も少なくなる
・スマホのGPSを常時稼働しなくても良くなるので、スマホのバッテリーの節約にもなる
・スマホのバッテリーが切れた時、紙の地図を忘れた・無くしたときなどの備えにも使えそう
といった点が非常に便利だと感じました。
まとめ
こんな形でしばらく使ってみましたが、やはり登山などのアウトドア向けの性能は本当にピカイチでしたね!
手元で地図などの情報がバッチリ見えるうえ、短い登山ならバッテリー切れの心配も皆無なので、登山では必携のアイテムとなるでしょう。
また価格面でもApple Watch UltraやGalaxy Watch Ultraより圧倒的に安いのが魅力で、日常機能の豊富さでは両モデルには劣りますが、登山メインで使いたい人にはこちらのほうがコスパは良いかもです。
なお、前半の方でレポートしたように、健康、運動、日常の機能も一通り必要なものは揃っていて、特に健康機能は想像以上に充実していました。
何しろロングバッテリーなので、充電の手間を省きたくて、日常使用できるモデルを探している方にもオススメできると思います!
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