米国食品医薬品局(FDA)がApple Watchを心房細動(AFib)の可能性がある不規則な心拍を追跡する機能を持つ初のデジタル機器として承認すると発表しました(*1)。
心房細動とは何らかの理由で心拍が不規則なリズムになる症状で、心不全や脳卒中といった深刻な合併症を誘発する原因のひとつになります。自覚症状がないことも多く、早期診断及び治療が重要です。
*1. FDA qualification of a new Medical Device Development Tool
https://content.govdelivery.com/accounts/USFDA/bulletins/399d551
個人使用から医療全体の向上へ
Apple Watchを心房細動(AFib)追跡機能の元々の目的はユーザー自身が自宅で心臓の健康をモニターできるようにすることでした。この機能はその個人的な範囲を越えて、医療全体の向上に寄与する段階に入りました。
FDAがApple Watchには医療機器開発を目的とした研究に使用されるに相応しい信頼性があると認めたからです。
FDAは医療機器開発に役立つツールやソフトウェアなどをデータベース化するプロジェクト(Medical Device Development Tools 、略称MDDT)を遂行しています。研究機関やメーカーはこのデータベースに登録された技術をFDAからの承認を待つことなく医療機器開発に使用することが許可されます。
つまり、新しい技術の安全と有効性についてFDAがあらかじめ「お墨付き」を付与することによって、医療機器開発期間を短縮することが可能になります。Apple Watchもそのひとつに加わったことになります。
FDAはこれまで、Apple Watchなどウェアラブル機器の健康関連機能(血糖値、血圧、体温などの測定)を認めることにとても慎重な姿勢を取ってきました。今回の発表はその流れが変わりつつあることを示唆しているのかもしれません。
関連記事:米国のFDAがウェアラブル機器の血糖値モニター利用に警告。Apple Watchへの影響は?
Apple Watchで心房細動(AFib)追跡機能を有効にする方法
Apple Watchの心房細動(AFib)追跡機能を活用するためには、ある種の設定が必要になります。アップル社のサポートページ(*2)にその方法と注意事項が詳しく説明されていますので、そちらを参照することを強くお勧めします。
*2. Apple Watch:心臓の健康に関する通知
https://support.apple.com/ja-jp/HT208931
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani
※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。