人工知能(AI)の時代がやってきたと言われ始めてから随分たちます。好むと好まずにかかわらず、どこに行っても、何をしていても、AIとまったく無縁の1日を過ごすことはとても難しくなりました。
Apple WatchやiPhoneでも、ずっと以前から「Siri」と呼ばれる機能で様々な情報をAIから得ることができています。
関連記事:Apple Watchで外国語会話例文集は不要になる? Siriと翻訳アプリの使用方法
最近ではAIとまるで会話をしているようなChatGPTが世間で大きな話題を呼んでいます。情報を検索するだけではなく、まるで人間が考えるように回答を生成するところに大きな特徴があります。
さらには、そのChatGPTをApple Watchで使うことができるアプリまでもが登場しました。
ChatGPTアプリをApple Watchにダウンロードする方法
現在のところ、ChatGPTをApple Watch上での動作を可能にするアプリにはChatGPTという単語は使われていません。
代わりにApp Storeで、たとえば「ChatGPT for Apple Watch」などのキーワードで検索してみてください。『Petey – AI Assistant』というアプリがヒットするはずです。
Apple Store アプリ詳細ページ:https://apps.apple.com/jp/app/petey-ai-assistant/id6446047813
販売元は『Modum B.V.』というサードパーティーのアプリ開発者で、ChatGPTの公式アプリではありません。価格は600円の買い切りに設定されています。最新版のGPT-4を使用する場合はさらに400円の追加料金がかかります。
iPhoneからApple Storeでこのアプリを購入しダウンロードをすれば、自動的にApple Watchにインストールされ、すぐに使用できるようになります。余分なステップは何もありません。
『Petey』をApple Watchで使う方法
Apple Watchのアプリから『Petey』を選ぶと、アイコンと「質問する」ボタンだけのシンプルな初期画面が表示されます。その次の画面で質問できるわけですが、その方法はキーボードあるいは音声入力を選ぶことができます。
もっとも、キーボード入力はかなり面倒かつ難しく、実際には音声入力しか現実的ではないでしょう。現在のバージョンでは、という但し書きがつきますが。
音声入力の言語がデフォルトで英語になっていることもあるようですが、そのときはいったんキーボード入力画面の下にある三角を上にスワイプすると言語設定を変更することができます。
そうして日本語の質問をApple Watchに向けて話すと、その内容が画面に文字で表示されます。日本語音声認識の精度はなかなかのもので、ゆっくりと発音すれば、概ね正確に認識してくれます。
質問が間違って認識された場合は、いったんキャンセルして、質問を変えるか、あるいは発音や話すスピードを変えてみます。
質問画面の右上にある「完了」ボタンをクリックすると、質問に対する回答の生成が始まります。質問の内容やサーバーの状況によって異なるようですが、通常、数十秒から長くても数分で回答が表示されます。
例えば、私が試してみた質問は以下の通りです。
●マラソンの練習方法を教えて下さい
●ロサンゼルスを3日間で観光するプランを立ててください
●30歳の誕生日を迎える妻に贈るポエムを書いてください
そう、こんな質問にもAIは答えてくれるのです。最後のものは笑ってしまう回答が返ってきましたが(「おお 妻よ」で始まる7行のポエムでした)、ノウハウや既存情報を得るタイプの質問には、かなり信頼性があるように思える回答が返ってきました。
回答は文字及び音声で返ってきます。音声をミュートすることもできます。
回答を受け取った後で、さらに「返信」ボタンを押して会話を続けることができますし、あるいはその回答をメールやテキストで転送することもできます。
つまり、AIが作成したポエムをまるで自分が作ったように見せかけて奥さんにプレゼントするなんてことも、それも腕時計からやろうと思えばできるわけです。真心が通じないだけならともかく、頭がおかしくなったかと思われるかもしれないので、あまりおススメはできませんけど。
ChatGPTの限界
使い方にもよりますが、とても便利で、そして面白いアプリだな、というのが私の率直な感想です。
AIテクノロジーは日々進化していくものですので、あるいは今日の問題は明日には解決しているかもしれません。今回紹介したPetey以外の製品も今後どんどん出てくるでしょう。
それでも、現時点では、ChatGPTが提供する情報には不正確なものもかなり含まれていることは忘れてはならない事実です。
一例を挙げましょう。私の名前、「角谷剛」という人を知っていますか? という質問にChatGPTから以下の回答が返ってきました。漢字変換が面倒だったため、PCから入力したものです。
もちろん、私は天文学者でも理論物理学者でもありません。同姓同名の人が東京大学で教鞭をとっておられるという話も聞いたことはありません。あるいは私が存じ上げないだけかもしれませんが、少なくとも「テレビ番組や著書などで広く知られている」有名な学者に角谷剛という名前の人はいないと思います。
火のないところに煙は立たないはずですが、一体どこからそんな話になったのかはまったくの謎です。
ChatGPTはこんなトンデモない情報を垂れ流すことも時にはあるのだということは知っておいた方がよいでしょう。それを承知のうえで利用すると便利なことも多々あるかもしれません。ただし、くれぐれも角谷剛はああ見えても実はインテリだった説を真に受けたり、拡散したりしないようにお願いします。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani
※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。