今からおよそ1年前の2022年3月、アリゾナ州が全米で初めて、iPhoneやApple WatchのWalletアプリにデジタル化された運転免許証及び州身分証明書をアップロードできるようになったとアップル社が発表しました(*1)。
*1. アップル公式ウェブサイトの発表:https://www.apple.com/newsroom/2022/03/apple-launches-the-first-drivers-license-and-state-id-in-wallet-with-arizona/
自動車を運転する際はもちろんですが、他にも空港でのチェックポイント、あるいはアルコール類の購入時など、身分証明書の掲示が必要な場面で、Apple Watchをタップするだけで法的に有効になったというわけです。
アップル社は昨年の発表で、同じ制度を導入予定の州がいくつかあるとしていましたが、その計画はこの1年間で着実に進行しているようです。
2023年2月末時点で導入済みの州
●アリゾナ(2022年3月から)
●メリーランド(2022年5月から)
●コロラド(*2, 2022年11月から)
*2. コロラド州運輸局の公式サイトによる発表:https://dmv.colorado.gov/applewallet
導入を検討中の州
●コネチカット
●ジョージア
●ハワイ
●アイオワ
●ケンタッキー
●ミシシッピ
●オハイオ
●オクラホマ
●ユタ
●プエルトリコ自治連邦区
見たところ、アメリカでも人口がやや少ない州が多いようです。ニューヨークやカリフォルニアなど、日本人にも馴染みが深い州は入っていません。ハワイが導入すると、在住日本人にとっては朗報になるでしょう。
いずれにしても、全米規模で言えば、未だ導入実地試験中と呼ぶべきかもしれません。
アップル社では、これら「検討中」の州について、詳しい導入時期や見通しなどは明らかにしていません。また、アメリカ以外の国にも広げるかどうかも分かりません。
アメリカでは、すでに通信や買い物など、日常生活の多くはApple Watchで用が足りるようになっていますが、運転免許証は別でした。普通の人は免許証を財布のなかに入れて持ち歩いていますので、今まではどうしても外出する際にはスマホと財布の両方が必携でした。
アップル社の試みが世界中に広がって、Apple Watchだけを着用して外出できるようになれば、私たちはまたひとつ身軽になれるのかもしれません。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani