Apple Watchの新OSであるwatchOS 9が発表されました。
以下、主なアップデートの内容を紹介します。
すべての人のための文字盤
Apple Watchのユーザーはより多くの文字盤から選べるようになり、より豊かな情報とパーソナライズの機会を提供するさらに豊富なコンプリケーションを利用できるようになります。
watchOS 9には、中国文化、イスラム文化、ヘブライ文化などの多くの文化圏で使用されているグレゴリオ暦と太陰暦の関係を表現した「ルナー」、アーティストJoi Fulton氏とのコラボレーションによって生まれたApple Watchだけのダイナミックなアート作品「プレイタイム」、クラシックでDigital Crownを回すとスタイルが変化するタイポグラフィが強調された文字盤「メトロポリタン」、完全に生まれ変わり、新しい星図と現在の雲のデータを表示したオリジナル文字盤「アストロノミー」の4つの新しい文字盤が追加されています。
「ユーティリティ」「シンプル」「アクティビティアナログ」などのいくつかの最もクラシックな文字盤に強化され現代化されたコンプリケーションが新たに追加されているほか、「モジュラー」「モジュラーコンパクト」「特大」の背景色を編集してさらにパーソナライズできます。
新しい「ポートレート」の文字盤では、猫、犬、風景などのより多くの写真で深度エフェクトが使えます。また「カリフォルニア」と「タイポグラフィ」の文字盤にはオプションとして漢字が追加されています。
集中モードでは、「パーソナル」集中モードの間は「写真」の文字盤を表示するといったように、iPhoneで特定の集中モードを開始した際にApple Watchに自動的に表示される文字盤を選択できるため、ユーザーが集中するのに役立ちます。
ワークアウトアプリケーションのアップデート
Apple Watchで最も人気の高いアプリケーションの1つであるワークアウトアプリケーションがアップデート。
パフォーマンスの測定のためのより詳しい指標と新しいトレーニング体験がユーザーのフィットネス目標の達成をサポートします。
お馴染みのセッション中の表示は、Digital Crownを回して読みやすいワークアウト表示を切り替え、ユーザーはさまざまなトレーニングスタイルの重要な指標を確認できるようになります。
「心拍数範囲」は、手動で作成することも、パーソナライズされたヘルスケアのデータを使って自動的に計算することもでき、ワークアウトの強度のモニタリングに役立ちます。
インターバルトレーニングはどのようなトレーニング計画でも重要な役割を占めています。
watchOS 9ではワークアウトアプリケーションにカスタムワークアウトが追加され、運動と休憩のインターバルを含む構造化されたワークアウトを作成できるようになります。
ペース、パワー、心拍数、ケイデンスなどの新しい通知を追加し、ワークアウト全体を通じてユーザーをガイドします。
すぐに走り出せるように
Apple Watchはランナーにとってすでにパワフルなツールとなっており、watchOS 9では、ユーザーがどれだけ効率的に走れているかを記録するのに役立つさらに多くのデータと機能を追加します。
「歩幅の長さ」「接地時間」「上下動」などの新しい「ランニングフォーム指標」のすべてを指標としてワークアウト表示に追加することができます。これらの指標はフィットネスアプリケーションの概要とヘルスケアアプリケーションに表示されるため、ユーザーは長期的な傾向を確認してパターンを把握することができます。
スイミングの機能強化
プールスイミングワークアウトの新しいストロークタイプとしてキックボードが検知されるようになります。
ユーザーがキックボードを使って泳いでいる時、Apple Watchはセンサーフュージョンを用いて自動的に認識し、ワークアウトの概要ではストロークタイプと泳いだ距離が分類されます。
スイマーは、プールの端から端まで泳ぎ終えるのにかかったストローク数と秒数を合わせたSWOLFスコアによって泳ぎの効率を記録し、ワークアウトの概要で各セットの平均SWOLFを確認することができます。
Apple Fitness+ワークアウトを最大限に活用
Apple Fitness+は、Apple Watchを中心に考えられた最初のフィットネスとウェルネスのためのサービスで、あらゆる人に受け入れられるようにデザインされています。
Apple Watchからワークアウトの指標をiPhone、iPad、Apple TVの画面にリアルタイムで賢く取り込み、開始から終了まであらゆるレベルのユーザーのモチベーションを維持します。
watchOS 9ではユーザーがワークアウトを最大限に活用できるようにするため、トレーナーのコーチングに加えて「Intensity for HIIT, Cycling, Rowing, and Treadmill」「Strokes per Minute (SPM) for Rowing」「Revolutions per Minute (RPM) for Cycling」「Incline for walkers and runners in Treadmill」などのガイダンスがFitness+ワークアウトの画面上に表示されるようになります。
Apple TVがないFitness+のサブスクリプション登録者は、AirPlayを使って対応している他社製テレビやデバイスにワークアウトやメディテーションをストリーミングして画面上で指標を確認でき、どこでもいつでもトレーニングできるようになります。
睡眠に関する詳しい情報
Apple Watchの睡眠体験はすでに、就寝準備や就寝時刻のスケジュールを立てたり、睡眠状態を記録して目標を達成したりするために役立っています。watchOS 9では睡眠記録に睡眠ステージが加わり、さらに詳しい情報が提供されます。
Apple Watchは加速度センサーと心拍数センサーからの信号を使って、ユーザーがレム睡眠、コア睡眠、深い睡眠の状態にあることを検知します。
ユーザーはApple Watchの睡眠アプリケーションで睡眠ステージのデータを確認したり、iPhoneのヘルスケアアプリケーションのグラフで睡眠時間などの詳細な情報や、心拍数や呼吸数などの追加の指標を確認することができます。
機械学習モデルは、これまで実施されたウェアラブルの調査において最大数で最も多様な被験者を対象とした睡眠ポリグラフ検査の1つの臨床データと照らし合わせてトレーニングと検証が行われました。
睡眠の科学については現在も研究が進められており、ユーザーはリサーチアプリケーションを通じてApple Heart and Movement Studyに睡眠ステージのデータを提供し、発見の可能性に貢献することができます。
これまでにない心房細動履歴
現在、Apple Watchの心電図アプリケーションと不規則な心拍の通知機能によって心房細動(AFib)の兆候を特定することができます。心房細動は、治療をせずに放置すると脳卒中につながるおそれがある主な疾患の1つです。
研究調査によると、心房細動の継続時間は、その人の症状、全体的な生活の質、合併症のリスクに影響を与える可能性があるとされています。これまで、心房細動の頻度を長期にわたって記録したり、健康状態に影響を及ぼす可能性がある生活習慣関連因子を管理するための簡単な方法はありませんでした。アメリカ心臓協会によると、修正可能な生活習慣関連因子を対処することで、心房細動の継続時間が減少する可能性があるとされています。
watchOS 9では、心房細動と診断されたユーザーは、FDA認可の心房細動履歴機能2を有効にし、心拍リズムに心房細動の兆候が現れたおおよその頻度などの重要情報にアクセスすることで、健康状態についてより詳しい情報を得ることができます。また、毎週届く通知によって頻度を把握したり、ヘルスケアアプリケーションで、心房細動に影響を及ぼす可能性がある睡眠、アルコール摂取量、運動などの生活習慣関連因子を含む詳細な履歴を確認したりできるようになります。
ユーザーは心房細動に関する自身の詳細な履歴と生活習慣関連因子の情報が記載されたPDFをダウンロードして医師や医療従事者と簡単に共有し、より詳しい情報に基づいた会話に役立てることができます。
服薬
Apple WatchとiPhoneの新しい服薬の体験では、ユーザーが服薬リストを作成し、服用スケジュールとリマインダーを設定し、薬の情報をヘルスケアアプリケーションで確認することによって、薬、ビタミン、サプリメントの管理と記録ができるようになります。Apple Watchの服薬アプリケーションによって、ユーザーは薬の服用を便利に目立たず、いつでもどこでも簡単に記録できるようになります。
プライバシー
プライバシーは、Appleのすべての機能にわたる設計と開発の基礎にある理念です。
ユーザーのiPhoneがパスコードや、Touch ID、またはFace IDでロックされている場合、ヘルスケアアプリケーションにある健康とフィットネスのデータは、メディカルIDを除いてすべて暗号化されます。
iCloudにバックアップされたヘルスケアアプリケーションのデータはすべて、送受信中もAppleのサーバ上で保存されている時も暗号化されます。
watchOS 9のその他のアップデート
○常に情報とつながっていられることは、Apple Watchの体験のパワフルな要素の1つです。watchOS 9では通知の再設計により、Apple Watchの使用中は新しい細いバナーで通知が表示され、目を引きながらも集中を妨げない形で表示されるようになります。
○ファミリー共有設定がホームアプリケーションに対応し、HomePodスピーカーやスマートホームのアクセサリを操作するメンバーとして子どもを招待できるようになります4。Appleウォレットで自宅の鍵やホテルの鍵を使うこともできます。
○Apple Watchの新しいクイックアクションでは、ダブルピンチジェスチャーを使って、電話の応答や終了、写真の撮影、再生中アプリケーションでのメディアの再生や一時停止、ワークアウトの開始、一時停止、再開など、さらにたくさんのことができます。
これは、上肢に障がいのあるユーザーがディスプレイをタップしなくてもピンチやクレンチのようなジェスチャーでApple Watchを操作するための方法である、Apple WatchのAssistiveTouchで使われる革新的なテクノロジーを基盤としています。
○ペアリングしたiPhoneからApple Watchを遠隔で操作できるようにするApple Watchのミラーリングにより、身体機能に障がいのある方々にとってApple Watchがこれまでに以上に使いやすくなります。
Apple Watchのミラーリングでは、音声コントロールやスイッチコントロールのようなiPhoneの支援機能を利用してApple Watchを操作できるため、Apple Watchのディスプレイをタップする代わりに音声、サウンドアクション、ヘッドトラッキング、他社製の「Made for iPhone」スイッチを使ってApple Watchを操作できます5。
Apple Watchのミラーリングは、ハードウェアとソフトウェアの統合やAirPlayにおける進歩を利用することで、身体機能に関するこれらのアクセシビリティ機能を使うユーザーが、血中酸素ウェルネス、心拍数、マインドフルネスなどApple Watch独自のアプリケーションを活用できるようにします。
○Apple Watch Series 7のQWERTY配列のキーボードに日本語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語(メキシコ、スペイン、中南米)のサポートが追加されます。
○再設計されたDockでは、使用中のアプリケーションがほかのアプリケーションよりも優先的に表示され、より簡単にすばやくそのアプリケーションに戻れるようになります。
○リマインダーアプリケーションでは、日付と時刻、場所、タグ、メモなどの主要な詳細情報を追加したり編集したりできるようになります。
○アップデートされたカレンダーアプリケーションでは、Apple Watchから直接新しいイベントを作成できるため、生産性を維持できます。アップデートされた「リスト」「日」「月」の表示に加え、はじめて「週」表示にアクセスできるようになったことで、より多くの方法でカレンダーのイベントをスクロールできるようになります。
○「心拍数回復」は、心血管系の健康状態のバロメーターとして役立つフィットネス指標です。Apple Watchでは、屋外ウォーキング、ランニング、ハイキングワークアウトで、強度がピークに達していなくても、「心拍数回復」の推定値が表示されるようになります。この指標はヘルスケアアプリケーションで長期にわたって追跡できます。
○新しいAPIにより、CallKitと共有シートへの対応、Photos pickerへのアクセス、またwatchOSのアプリケーションとApple TVの統合が可能になり、デベロッパはクラス最高のサードパーティアプリケーションを開発できるようになります。
再設計されたDockでは、より簡単にすばやく使用中のアプリケーションに戻れるようになります。
アップデートされたカレンダーアプリケーションでは、Apple Watchから直接新しいイベントを作成できます。
提供について
watchOS 9のデベロッパ向けベータ版は、本日よりdeveloper.apple.com/jpを通じてApple Developer Programのメンバーに提供されます。watchOSユーザー向けのパブリックベータ版は、来月よりbeta.apple.comにて提供されます。
watchOS 9はこの秋リリース予定です。
iOS 16が搭載されたiPhone 8以降およびiPhone SE(第2世代)以降とペアリングされているApple Watch Series 4以降に対して、無料のソフトウェアアップデートとして提供されます。一部の機能は、国や地域、言語、またはデバイスによっては利用できない場合があります。
提供される機能は変更される場合があります。詳しくは、apple.com/jp/watchos/watchos-previewをご覧ください。
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