Apple Watchを外国語でのコミュニケーションに活用する方法
Apple Watchは腕時計であり、フィットネストラッカーであり、そしてコミュニケーションツールでもあります。
テキストメッセージを送受信したり、あるいは電話をかけることもできます。
それだけではありません。Apple WatchでSiri(シリ、アップル社が提供する人工知能の音声アシスタント機能)を使えば、まるで何か国語も話せる通訳兼ガイドを連れて歩いているようなことさえもできるのです。
どこか外国に旅行することを想像してみて下さい。見知らぬ町に着いて、さて今夜はどこに泊ろうか、この辺にホテルはあるかな、といった状況では、以前ならよく旅行ガイドブックの巻末などについていた会話例文集だけが頼りだったかもしれません。
ところが、Siriを使えば、どんなことでも日本語を外国語へ即座に訳してくれるのです。
ただ、「Hey Siri」とApple Watchに向かって呼びかけて、その後で例えば「{英語}で、{この辺りにホテルはありますか?}を何と言いますか?」と質問すると、”Is there a hotel around here?” と答えてくれます。{}の中は自由に変更できます。
Siriに質問した結果。「ホテル」が「ほてる」と表示されたが、意味は通じた
従来の会話例文集よりSiriが優れている点は、訳文を教えてくれるだけではなく、発音もしてくれるということです。Siriの答えを質問したい人に聞いてもらえば、通じるか通じないかといった心配も不要です。
もちろん、逆に外国語→日本語の翻訳も可能です。現地の人が何を言っているか分からない時、Apple Watchに向かって話しかけてもらう、という方法も考えられるということです。
現在のSiriは日本語や英語の他、20か国語以上に対応しています(*1)。それだけあれば、地球上にあるかなり多くの国や地方をカバーしているのではないでしょうか。
*1. アップル社の公式ウェブサイト情報: https://www.apple.com/jp/watchos/feature-availability/#siri-translations
翻訳だけではなく、Siriは旅行中に知りたいと思うかもしれない、ありとあらゆる情報を提供してくれます。例えば、「今日の1ドルは何円?」とか「明日の天気は?」とか「今日のロサンゼルス・エンゼルスの試合は何時に始まる?」なんてことも、ただApple Watchに話しかけるだけで即座に答えてくれるのです(すべて実験済みです)。
翻訳アプリを使うとさらに便利に
Apple Watchの強みのひとつに様々なアプリをダウンロードして使えることがありますが、その中でも「iTranslate Converse」 という名の翻訳アプリは海外旅行や外国語習得にお勧めです。
このアプリはインストールしてから使い始める前の初期設定で使用する言語を選択する必要がありますが(例:英語と日本語)、それさえ済めば、ただApple Watchにどちらかの言語で話しかけると、自動で他の言語に訳し、かつ発音もしてくれます。Siriのように、○○語で何と言いますか、などと尋ねなくてもよいのです。
iTranslate Converseはユーザーが話した言語を自動的に検出する。
少なくとも私が試した限り、英語と日本語の双方向へ、かなりの正確さで翻訳してくれます。しかもこのアプリの説明によれば、世界38か国語に対応しているのだそうです。
旅行中に魅力的な異性と出会い、「君の笑顔はとても魅力的だよ。食事でも一緒にどうだい?」と誘いたかったのに、その国の言葉ができなくて悔しい思いをした人はいないでしょうか。
このアプリではそんな長い文章も、少なくとも日本語から英語にかなり正確に訳してくれました(あくまで翻訳機能チェックのための実験です。実際に試したわけではありません。念のため)。
ナンパのような実用的な用途(?)ではなくても、外国語初級会話のテストくらいなら、この翻訳アプリを使ってカンニングとかできてしまいそうですが、勿論、そんなことをしてはいけません。
現代インターネット社会の意外な盲点
Apple Watch 上で実現しているSiriや翻訳アプリはまるでドラえもんの「ほんやくコンニャク」のようです。
しかしながら、残念なことに我々21世紀の人類が未だに克服できていない問題が、私が思いつく限りは2つあります。ひとつはApple Watchのバッテリーが切れたら使えないということ、もうひとつはインターネット接続ができない場所がまだまだ多い(少なくともアメリカでは)ということです。どちらのケースもApple Watchユーザーにとってはお手上げです。
今のところ、バッテリー切れは自分が注意さえすればよい問題ですが、インターネット環境の有無は個人ではどうしようもありません。それでも今から何年後か何10年後かにはこうした問題もすべてテクノロジーの進歩によって解決されるだろう、ドラえもんがやってきた22世紀まで待つ必要はあるまい、と個人的には想像しています。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani