アップル社が来年早々にも“crash detection”(衝突検出)と呼ばれる新機能をiPhoneとApple Watchに追加すると、米国を代表する経済新聞『The Wall Street Journal』(以下WSJ)が11月1日付の電子版で報じました(*1)。
*1. Apple Wants iPhones to Detect Car Crashes, Auto-Dial 911
https://www.wsj.com/articles/apple-wants-iphones-to-detect-car-crashes-auto-dial-911-11635768001
衝突事故が起きた時に起きる自動車への衝撃を検出し、その必要があると認められた場合には救急番号(米国では「911」)へ自動で通報する、というものです。
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自動車への衝撃を検出した事例は既に1,000万件以上
WSJによると、この新機能は重力の突然の変動(g-force)を測定して、衝突事故が起きたことを判断するものです。
アップル社は既に昨年からiPhoneとApple Watchのユーザーから匿名のデータを収集していて、これまでに1,000万件以上の衝突事故と思われる衝撃を検知し、そのうちの5万件以上が「911」への緊急連絡を要した事故だった、とも記事にあります。
アップル社はこの「911」データを活用して、衝突事故を検出するアルゴリズムの正確性を高めています。
2022年にOSアップデートとして実現するか
この新機能には新たなハードウェアが必要とされるのか、あるいはソフトウェアの変更で済むのか、実際に導入される形式は明らかではありません。
WSJは2022年にリリースが予定されているiOS 16 とwatchOS 9にこの新機能が含まれるだろう、と予想しています。つまり、iPhoneとApple Watchの比較的新しいバージョンを所有している人は、OSをアップデートすることで、この機能を使えるようになる、ということです。
もっとも, WSJはこの機能が導入される時期が変更されるか、あるいは導入自体が見送られる可能性もある、と読者に警告しています。
つまり、現段階では「自動車衝突事故の自動検出機能」がどのように導入されるか、それがいつになるかは未定ということです。
それでも、この機能が実現できるのではないかと予想できる根拠として、既に現行のApple Watchにはユーザーが転倒したことを検知する機能があることが挙げられます。この機能もあらかじめ登録された緊急連絡先へテキストを送り、転倒したユーザーの所在地も通知します。
米国の「911」は日本であれば「119」になるのか、「110」になるのか、あるいはその両方になるのか。その辺りは、国や地域によってカスタマイズが必要にはなるでしょう。他にも解決するべき法律的あるいは技術的な課題はあるかもしれませんが、もしスマートウォッチを着用することによって助かる命があるとすれば、それはとても素晴らしいことではないでしょうか。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani
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