図1: スマートウォッチグローバル出荷台数シェア 2021年と2020年の第1四半期比較(%)
出典: Counterpoint Research Global Smartwatch Tracker, Q1 2021
※BBK分は同社の海外市場での子供向けウォッチのブランドであるimooのロゴで示しており、同社が中国国内向けにXTC 小天才のブランドで出荷している数量を含んでいます。
カウンターポイント社シニアアナリストSujeong Lim氏は「Appleは、良いタイミングで製品ラインナップをWatch SEからシリーズ6まで広げ、首位の座をさらに確固たるものにした。Samsungが中位価格帯の製品を発売し成長加速を狙うのは、このAppleの動きに対応するものであろう」と分析しています。
OS別のシェアではWear OSが大苦戦。市場シェアは4%に
スマートウォッチのOSは、10億台のiPhoneユーザーたちのスマートウォッチ購入率の増加をうけて、AppleのWatchOSが市場の1/3以上を占めています。その一方で、GoogleのWear OSはスマートウォッチでそこまで成功していません。その理由の一つは、スマートウォッチメーカーはそれぞれ独自OS(Fitbit OS、 Tizen、Garmin OSなど)を開発して搭載していることにあります。それに加えて、Wear OSは機能、電池寿命最適化、サポートするチップセットの面で見劣りする部分があり、その結果、スマートウォッチグローバル市場でのシェアは、わずか4%に留まっています。
図2: スマートウォッチグローバル出荷台数 OS別のシェア (%)
出典: Counterpoint Research Global Smartwatch Tracker, Q1 2021
Google-Samsungの統合で状況に変化も?
しかし、Google I/Oのイベントで先週アナウンスされた、Google-Samsungパートナーシップによって、この状況は近々一変する可能性を秘めており、GoogleはSamsungのTizen OSをGoogle Wear OSに統合し、35億台のAndroidユーザーベースを背景に、全力でテコ入れを図ろうとしています。Lim氏はこの点に関して次の通り述べています。
「うまくいけば、Googleの新しいWearプラットフォームは、この秋遅くに発売予定の次世代Galaxy Watchに搭載されるだろう。両社にとってメリットがある話になる。この統合の主要目標は、単に電池寿命などの性能改善に留まらず、AIの改良、新しいアプリやサービス、そしてAndroidスマートフォンとの連携を含んでいる。Samsungにとっては、これまでより広くAndroidスマートフォンユーザー全体を対象としてビジネスを展開できる。また、Googleは、Fitbit買収が完了したことを受けて、Wearプラットフォームのフィットネス関連の機能やサービスとの統合を強化できるようになった」
Google-Samsungのアナウンスに関して、カウンターポイント社調査担当VPのNeil Shah氏は次の通りコメントしています。
「Googleがウェアラブル業界において意欲的な事業展開を実現する上で、今回の提携は素晴らしい一手である。Tizen OS、Wear OS、Fitbit OSと、3領域それぞれで最高なものを統合することで、強固なWear機器のポートフォリオを築くことができる。この統合によって、GoogleのWearプラットフォームのパワーが増し、多くの開発者を惹きつけ、ウォッチの新たなユーザー体験が生まれるだろう。」
また、ハイテク企業がなぜここまでリストデバイス(手首につける機器)に熱心なのかについて、Shah氏は次の通り述べています。
「ウェアラブルのデバイスとサービスは、Apple、Google、Facebook、Amazonなどの企業にとって今後重要なカテゴリーになる。なぜなら、彼らはヘルスケア、医薬、保険の業種に、直接・間接に事業を拡大しつつあるからだ。例えば、AppleのFitness+サービスは、その分析と予測に基づいて薬やヘルスケアソリューションを売る、というクロスセルを実現している。また、先進的な音声認識AIや機械学習を搭載することで、リストデバイスはハイテク企業にとって、この10年の重要セグメントとなるだろう。グラスなど視覚を使う機器や、脳と直接インターフェースする機器が出てくるまで、この状況が続くだろう」
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