歩数や消費カロリーを把握できることから、健康維持やダイエットに様々な形で活用できるスマートウォッチ。6月2日に発売された書籍『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(朽木誠一郎著/KADOKAWA刊)にも、その有用性が分かる記述があったので、今回は同書のレビューをお届けします。
医学部卒の医療記者がFitbitも活用してダイエットに成功
同書の著者の朽木誠一郎氏は、朝日新聞withnews副編集長・同医療記者。群馬大学医学部医学科卒という、記者としては異例の経歴の持ち主で、ネット時代の医療情報との付き合い方をテーマとした『健康を食い物にするメディアたち』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という著書もあります。
新著の『医療記者のダイエット』は、ダイエットをテーマにした取材と、自身が40kg痩せた経験をまとめたもの。Amazonの内容紹介には「スマホアプリ、Fitbit、体組成計、糖質制限、運動報告部―自宅でできる!やせるための答えは“環境”だった」との文章があり、そのダイエットにはFitbitのアクティビティトラッカーも活用されていました。
なお身体活動量を記録できる腕時計型の機器については、「アクティビティトラッカー」「フィットネストラッカー」などの呼び名もありますが、いずれも「フィットネス機能に特に優れたスマートウォッチの一種」と考えてよいでしょう。同書でもFitbitのほかGarmin、Apple Watchなど、スマートウォッチではおなじみのブランド・製品が紹介されていました。
肥満症の治療にもスマートウォッチは役立つ!
『医療記者のダイエット』は、副題に「最新科学を武器に」との文言があるように、随所に最新科学の知見が取り入れられているのも面白さの一つ。アクティビティトラッカー(スマートウォッチ)に関わる記述でも、興味深い記述がありました。
同書によると、現在の肥満症の治療においては、食事と運動習慣の改善に加え、第三の治療法として「認知行動療法」による治療が行われているとのこと。認知行動療法とは、非常にざっくりと言えば、「自分の思考や行動のクセを把握し、その認知・行動パターンを整えるこどで生活・仕事上のストレスを軽減する」という治療法。もともとは精神疾患の治療に活用されている心理療法で、近年は高血圧症、肥満症、糖尿病などの身体疾患の治療にも活用が進んでいます。
『医療記者のダイエット』によると、この認知行動療法を肥満症の治療に取り入れるうえで、重要な手法が「セルフモニタリング」。自分の体重・食事・運動・日常の生活行動などを記録し、達成可能な目標を設定することで、「思ったより体重が落ちていなかったなら、何が良くなかったんだろう?」と自分で問題分析・対処をすることなんだそうです。
しかし、そうした生活・運動のデータの記録は非常に面倒なもの。そこで役に立つのが、Fitbitなどの身体活動量をしっかり計測できるスマートウォッチや、摂取カロリーを記録できるアプリというわけです。そして著者は以下のように書いています。
- もちろんダイエットに意志は必要だけれど、できるだけ意志を介在させない仕組みを作るべきです。意志だけでは抗えないものにしっかり、立ち向かうために。その点、こうしたスマホアプリやガジェットを活用すれば、「意志」でがんばる部分は大幅に削減できます。(『医療記者のダイエット』P.114より)
著者が書いているように、ダイットは「痩せるぞ!」という意志だけでは簡単には成功しないもの。それが、運動から日常生活の歩行まで、消費カロリー等を細かく記録してくれるスマートウォッチがあれば、より痩せやすい環境を自然と作れるわけです。
ダイエットでもPDCAサイクルを回すべき
なお著者は、ダイエットにおいても「仮説と検証のPDCAサイクルを回すこと」が大切だと説いていました。運動量が把握できるスマートウォッチは、その過程でも大いに役に立つでしょう。なお本書にはほかにもダイエットに関わる科学的知見が満載なので、興味のある方はぜひご一読を!
『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』
朽木誠一郎
KADOKAWA 1,540円