スマートリング大手の『Oura Ring』が血糖値モニター専門の医薬品メーカー『DexCom』とパートナーシップ契約を締結しました。11月19日付で『BusinessWire』、『Bloomberg』などのビジネス系ウェブサイトで報じられています。
https://www.businesswire.com/news/home/20241119063628/en/
DexComが提供する血糖値データと Oura Ringが提供する睡眠、ストレス、心拍、身体活動などのデータが統合されることによって、両者製品のユーザーはそれぞれのアプリで自身の健康状態をより総合的に把握できるようになります。
DexComがOura Ringに7,500万ドル(約115億円)の戦略的投資を行うことも同時に発表されています。そこには長期的なパートナーシップ関係が視野にあると思われるのですが、まず最初のアプリデータ統合は2025年前半に早くも導入される見通しです。
DexComは今年初めに米国内で初めてウェアラブルの血糖値モニターを発売開始しました。パッチ型の機器を上腕部に貼り、血糖値データの変動をスマートフォンのアプリで24時間見ることができるというものです。現在のユーザー数は米国内で250万人を超えるとのこと。
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注目するべきは、Oura Ringが食事のタイミングを追跡し、何をいつ食べるかが睡眠、ストレス、回復などの健康指標にどのように影響するかを可視化する機能「Meals」を開発中であることです。そこに血糖値のデータが加わることは、ユーザーにとって大きな意味を持つでしょう。
Oura Ringの最高経営責任者であるトム・ヘイル氏は以下のように述べています。
「Oura Ringメンバーの 97% が、食べ物が健康にどのような影響を与えるかについて関心を示しています」
「Oura RingとDexcom は協力して、睡眠や運動などの活動と血糖値との相関関係を明らかにし、会員が何をいつ食べるかを決めるのを支援します。また、同じ食べ物や活動でも人によって影響が異なることがわかっているため、そのアドバイスは個人ごとにカスタマイズされたものになります」
血糖値の不健康な変動は、糖尿病、心臓病、脳卒中などの発症リスクと密接な関連があることが多くの研究で明らかになっています。
そのため血糖値データを知りたいというニーズは強いのですが、現在のところ信頼性のある血糖値データを測定できるウェアラブル機器は存在しない、と日本糖尿病学会が警鐘を鳴らしています。
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アップル社を始め、多くのウェアラブル機器メーカーが血糖値モニターの開発を競っていると思われるのですが、この分野においてはOura Ringが大きなリードを得たようです。
執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani