9月19日、カリフォルニア州でApple Walletにアップロードしたデジタルの運転免許証あるいは州身分証明書が法的に有効になったとアップル社が発表しました(*1)。
*1. アップル公式ウェブサイトの発表(英語):
https://www.apple.com/newsroom/2024/09/apple-brings-california-drivers-licenses-and-state-ids-to-apple-wallet/
Apple WalletはiPhoneとApple Watchで使用できるアプリです。クレジットカードを登録しておくことで非接触の支払いを可能にするものですが、さらに身分証明書の機能も追加できるようになるというわけです。
Apple Walletの運転免許証を有効にしたのはアリゾナ州が全米で最初でした(2022年3月)。その後、コロラド州、ジョージア州、メリーランド州、ハワイ州、オハイオ州と続き、今回のカリフォルニア州は7番目の導入例となりました。
他にも導入を検討する州はいくつかあるとのこと。アップル社はさらに日本のマイナンバーカードへも展開する計画を明らかにしており(*2)、それが実現すればアメリカ以外で初の事例になるとのことです。
*2. アップル公式ウェブサイトの発表(日本語):
https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/05/apple-announces-first-international-expansion-of-ids-in-apple-wallet-in-japan/
身分証明書をデジタル化するメリット
日本でもアメリカでも、運転免許証は自動車を運転する際には携行することを義務づけられています。それに加えて、アメリカの日常生活のなかでは身分証明書として掲示が求められる局面がいくつかあります。空港やホテルでのチェックイン、銀行など金融機関での手続き、そしてアルコール類やタバコを購入するときなどです。カジノやバーなどに入店する際に必要になることもあります。
物理的な運転免許証カードには氏名、顔写真、現住所、生年月日などの個人情報が掲載されています。アメリカの場合は、さらに性別、身長、体重、目と髪の色が加わります。それを他人に手渡す、あるいは掲示することに、不安感を抱く人がいても不思議ではありません。紛失や盗難の心配もあります。
Apple Walletを利用する場合はiPhoneかApple Watchを自分で持ったまま非接触型リーダーにかざすだけで身分証明ができます。アプリ上にはファーストネームとラストネームのイニシャルだけが表示されていて(私の場合は “Go K.” )、それ以外の情報を他人が見ることはできません。Apple Walletを使用する際にはあらかじめ登録した顔写真を認証するステップがあるため、不正利用の防止にもなります。
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は下のように述べています(*3)。
「カリフォルニアの人々には運転免許証あるいは州身分証明書をiPhoneあるいはApple WatchのApple Walletに追加する選択肢ができました。この新たな統合により、私たちは21世紀のカリフォルニアの人々にさらに良いサービスを提供できるよう取り組んでいます」
*3. カリフォルニア州政府ウェブサイトの発表(英語)
https://www.gov.ca.gov/2024/09/19/californians-can-now-store-drivers-licenses-state-ids-in-apple-wallet/
執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani