米国のアップル社が7月10日付で「Apple Watch For Your Kids」という販促キャンペーンを開始しました。
一瞬、子ども向けのApple Watchを売り出すのかと錯覚しましたが、そうではありません。親が子どもにApple Watchを持たせて、自分のiPhoneで子どもの安全確認やコミュニケーションに役立てることを促すキャンペーンです。
だから「子どものため」(For Kids)ではなく、「あなたの子どものため」(For Your Kids)なのですね。英語は恐ろしいです。単語ひとつもおろそかにできません。
Apple Watch For Your Kids:https://www.apple.com/apple-watch-for-your-kids/
Cellularモデルでなければいけない理由
キャンペーン用ウェブサイトには次のように書かれています。
「CellularモデルのApple Watchをあなたの子どもたちに持たせましょう。彼ら専用のiPhoneがなくても大丈夫です。電話やテキストがかんたんにできます。彼らがどこにいるかが分かります。活動的に過ごすように促すことにも大きな働きをします。彼らにとっては自立を意味し、あなたには安心を与えます」
Apple WatchにはCellularモデルとGPSモデルとがあり、このキャンペーンに参加するためにはCellularモデルを子どもに与えることが必須条件になります。なぜなら、GPSモデルではiPhoneが近くにないとインターネットに繋がらないからです。
家族が持つApple WatchをひとつのiPhoneで共有する機能そのものは以前からありました。
https://support.apple.com/ja-jp/109036
今回のキャンペーンはその既存機能を活用したものです。
Cellularモデルで、かつファミリー共有設定がされたApple Watchを手首に巻いた子どもが外出すると、親は自分のiPhoneで所在位置をリアルタイムで把握することができます。
子どもからすれば、親に隠れて寄り道もできなくなります。親は「そこで何をしているの。早く帰ってらっしゃい」と電話やテキストを送ることもできるのです。
さらには、子どもが何歩歩いたか、どれだけ心拍数を上がる運動をしたか、そんな情報も親には筒抜けです。部活をさぼって、友達とだべっていたら、すぐにバレてしまいます。授業中に居眠りをしても、睡眠時間にカウントされてしまうかもしれません。
そのようなわけで、子どもたちがこのキャンペーンを歓迎するかどうかは私の目には疑わしく映るのですが、彼らの安全に心を悩ます現役の子育て世代にはアピールするのかもしれません。
子どもにスマホを持たせるのは早過ぎると考える親は多く、またスマホを教室に持ち込むことを禁止する学校が増えていることも、キャンペーンの追い風になっているようです。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani
Source:https://www.apple.com/apple-watch-for-your-kids/
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