Appleはこの秋リリース予定のwatchOS 11の詳細について発表した。
watchOS 11は、最先端のセンサーテクノロジー、先進的なアルゴリズム、科学的根拠にもとづくアプローチを基盤とし、ユーザーの健康とフィットネスに関する画期的な洞察や、これまでにないパーソナライズを提供。
新しいバイタルアプリは、ユーザーがより詳しい情報にもとづいて日々判断を行えるよう、健康に関する主要な指標と状況を表示。トレーニングの負荷を測定できる機能は、フィットネスとパフォーマンスの向上のためにワークアウトの際に革新的な新体験を提供します。
アクティビティリングはこれまで以上にカスタマイズできるようになり、スマートスタックと「写真」文字盤は知能を使ってより個別化され、Apple WatchおよびiPhoneとiPadのヘルスケアアプリは妊娠中のユーザーにさらなるサポートを提供します。
到着確認、翻訳アプリ、ダブルタップジェスチャーの新機能がApple Watchに登場し、つながりを深め、利便性を向上させます。
各々の新機能の詳細は下記の通りです。
バイタルアプリが主要な健康指標に関するより優れた洞察を表示
ユーザーはApple Watchを使って、睡眠中に、重要な健康指標である心拍数、呼吸数、手首皮膚温、睡眠時間、血中に取り込まれた酸素のレベルを測定できます。
watchOS 11では、新しいバイタルアプリが、主要な健康指標をすばやく確認したり、自分の健康状況をより詳しく把握したりするための方法をユーザーに提供します。Apple Watchがこれらの指標を分析することで、ユーザーは日々の健康状態をチェックしたり、注目すべき指標を一目で確認したりすることができ、それらがユーザーの通常の範囲から外れている場合は簡単に把握できます。
2つ以上の指標が通常の範囲から外れている場合、ユーザーは通知とともに、これらの特定の指標が、高度の変化、飲酒量、さらには病気など、自身の生活のその他の側面とどのように関連している可能性があるかを詳しく説明するメッセージを受け取れます。
Appleの健康に関する機能は、科学的根拠にもとづき、臨床専門家の意見を取り入れて開発されています。範囲外の分類と通知を提供するためにバイタルアプリが使用するアルゴリズムは、心臓の健康と身体活動の理解を深めることを目指す研究であるApple Heart and Movement Studyから得た実世界のデータを使って開発されています。
妊娠中のさらなるサポート
watchOS 11、iOS 18、iPadOS 18は妊娠中のユーザーにさらなるサポートを提供し、この重要な時期におけるユーザーの体と心の健康状態の変化を反映できるようにします。
ユーザーがiPhoneまたはiPadのヘルスケアアプリで妊娠を記録すると、Apple Watchの周期記録アプリに妊娠期間が表示され、ユーザーは妊娠中によく起こり得る症状を記録することができます。また、妊娠中は心拍数が高くなる傾向があるため、高心拍数の通知のしきい値などを確認するよう促されます。
ユーザーがiPhoneまたはiPadのヘルスケアアプリで妊娠を記録すると、Apple Watchの周期記録アプリに妊娠期間が表示され、ユーザーは妊娠中によく起こり得る症状を記録することができます。
妊娠中や出産後はうつ病などのリスクが高まる可能性があるので、妊娠中のユーザーは、iPhoneまたはiPadのヘルスケアアプリで1か月ごとに心の健康の検査を受けるようリマインダーを受け取ることもできます。
また、妊娠後期には転倒の危険性が高まることが多いため、iPhoneで測定される歩行安定性は、妊娠後期のユーザーに対して転倒の危険性があると考えられる場合により早く通知することもできます。
トレーニングの負荷のパワフルな新たな知見
watchOS 11では、ワークアウトの強度や時間が長期的にユーザーの体にどのような影響を与えているかを測定するための、洞察に富んだ新しい方法であるトレーニングの負荷が導入されます。
トレーニングの負荷は、ユーザーが過去28日間と比較した、過去7日間のワークアウトによる体への負担を理解するのに役立ちます。これらの情報は、初めての5キロ、自転車レース、マラソンなど、特にユーザーがイベントに備える際に、毎日のトレーニングについてより詳しい情報にもとづき判断をするのに役立ちます。
強度を測定するため、各ワークアウト後に新しいエフォート評価が利用できるようになり、そのワークアウトの難易度を1から10の尺度で記録します。人気の有酸素ベースのワークアウトの種類では、推定されるエフォート評価を自動的に生成する革新的な新しいアルゴリズムが採用され、年齢、身長、体重などのデータソースと、GPS、心拍数、高度などのワークアウトデータを組み合わせて使用します。
ユーザーは、ストレスや痛みなど、その他の要素を考慮してこの推定値を手動で調整することもできます。自動で推定値が提供されない筋力トレーニングなどのワークアウトの場合でも、ユーザーは各ワークアウト後にエフォート評価を自分で入力することができます。
Apple Watchは、28日間のトレーニングの負荷を算出します。これは、この期間にユーザーが実施したワークアウトのエフォート評価と長さの両方を考慮して加重平均で算定しています。アクティビティアプリで、ユーザーは、直近7日間のトレーニングの負荷が28日間のトレーニングの負荷と比較してどの程度だったのかというのを「かなり下」「下」「一定」「上」「かなり上」のいずれかに分類された形で確認できます。
これは、体への現在の負担が増しているのか、同程度なのか、それとも和らいでいるのかを示すのに役立ち、それによってユーザーは最適な結果を得るためにトレーニングを調整できます。iPhoneのフィットネスアプリの追加情報で、体の状態の変化の可能性や怪我のリスクなど、現在のレベルでトレーニングを続けた場合にユーザーのフィットネスに及ぼし得る影響について詳しい情報を見ることができます。
ユーザーの日々の健康状態とトレーニングを行う能力は切り離すことができないので、Apple WatchのアクティビティアプリまたはiPhoneのフィットネスアプリで、トレーニングの負荷をバイタルアプリの情報と一緒に表示できます。ユーザーはバイタルアプリの中でトレーニングの負荷を確認することもできます。
これまで以上にカスタマイズ可能なアクティビティリングとフィットネスアプリ
アクティビティリングは毎日、Apple Watchユーザーが座っている時間を減らし、もっと体を動かして、エクササイズをするよう促し続けており、watchOS 11では、それらをさらにカスタマイズできるようになります。
トレーニング期間中に休息日を予定している時、怪我をしている時、単にオフの日が必要な時などに、ユーザーは1日、1週間、1か月間などの期間においてリングを一時停止できるようになり、それがバッジの連続達成記録に影響を及ぼすことはありません。また、ユーザーはアクティビティリングの目標を曜日ごとにカスタマイズすることもできるので、リングが、適切なタイミングで適切な量のモチベーションを与えてくれます。
さらに、ユーザーはiPhoneのフィットネスアプリで概要タブをカスタマイズして、ランニング、ハイキング、スイミング、マインドフルネスなどのワークアウトのための新しい指標など、見たいものを的確に表示できるようになります。
ユーザーは、iPhoneのフィットネスアプリで概要タブをカスタマイズして、見たいものを的確に表示することができます。
Apple Fitness+がiOS 18、iPadOS 18、tvOS 18で再設計され、ユーザーがその豊富なライブラリを最大限に活用し、モチベーションを維持し、フィットネス習慣を継続できるようサポートします。アップデートには、パーソナライズされた「For You」スペース、「詳しく見る」と「ライブラリ」のスペース、検索機能、バッジの機能強化が含まれます。
Apple Fitness+は、ユーザーがその豊富なライブラリを最大限に活用し、モチベーションを維持し、フィットネス習慣を継続するのをサポートするように再設計されています。
スマートスタックと「写真」文字盤にパーソナライズを追加
Apple Watchはユーザーに自分の体験をカスタマイズする様々な方法を提供し、watchOS 11におけるアップデートによって、Apple Watchがかつてないほどパーソナライズされ便利になります。
スマートスタックは、ユーザーがどの文字盤からでも重要な情報にすばやくアクセスできるように設計されており、watchOS 11では、より賢くなります。Shazam、写真、距離などの新しいウィジェットが利用できるようになります。
さらにスマートスタックは、時刻、日付、場所、日課などにもとづいてウィジェットを提案するので、ユーザーが必要とする時にApple Watchで各機能にアクセスするのがさらに簡単になります。例えば、雷雨の前には重大な気象警報の新しいウィジェットを表示します。
新しいインタラクティブウィジェットにより、ユーザーはスマートスタックから直接アプリを操作でき、ライブアクティビティもApple Watchのスマートスタックで利用できるようになります。
「写真」文字盤は、機械学習を使って何千枚もの写真を分析したあと、カスタムのアルゴリズムで最適な構図を見出すことによって、ユーザーが最高の写真のオプションを選べるようサポートします。
さらなる利便性と、つながり続ける方法
ユーザーがさらにつながりと安心感を得られるよう、ワークアウト中を含め、Apple Watchで到着確認を利用できるようになります。ユーザーは、早朝のランニングに出かける時でも、夜遅くのジムセッションに向かう時でも、ワークアウトが終了したかどうかを友人や家族が確認できるよう、ワークアウトアプリから到着確認に直接アクセスできます。
ユーザーは、iPhoneと同じように、メッセージから到着確認を開始することもできます。翻訳アプリもApple Watchに登場するので、ユーザーは手首から直接、対応している20言語のいずれかの翻訳にアクセスできます。スマートスタックの新しい知能により、ユーザーがApple Watchの設定と異なる言語が使われている場所に移動している時、Apple Watchはおすすめの翻訳アプリのウィジェットを自動的に提供することができます。
また、翻訳アプリのローマ字化機能により、ラテンアルファベットを使用する言語では発音が提供されます。さらに、ダブルタップジェスチャーを使って、メッセージ、カレンダー、天気など任意のアプリをスクロールできるようになるので、さらに簡単にApple Watchを片手で操作することができます。
ユーザーはワークアウトアプリから到着確認に直接アクセスできるので、ワークアウトを終了したかどうかを友人や家族が確認できます。
翻訳アプリがApple Watchに登場し、ユーザーは対応している20言語のいずれかの翻訳に手首から直接アクセスできるようになります。
翻訳アプリがApple Watchに登場し、ユーザーは対応している20言語のいずれかの翻訳に手首から直接アクセスできるようになります。
- ワークアウトアプリは、サッカー、アメリカンフットボール、オーストラリアンフットボール、アウトドアホッケー、ラクロス、ダウンヒルスキー、クロスカントリースキー、スノーボード、ゴルフ、アウトドアローイングなど、強化されたGPS測位を使って距離を記録できる、より多くの種類のワークアウトを提供します。ユーザーは、さらに多くの種類のワークアウトでルートマップを確認することもできます。
- プールスイミングでカスタムワークアウトを使えるようになり、ユーザーは、ワークと回復のセットに対応したインターバルベースのワークアウトと、次のインターバルに移るタイミングを知らせる触覚による通知をカスタマイズできます。どのカスタムワークアウトでも、新しい「次へ」ワークアウトビューに、現在のインターバルの残りとともに次のインターバルの概要が表示されます。
- Appleマップでは米国のすべての国立公園のハイキングコースが提供され、それをApple Watchに保存して、iPhoneが近くになくてもオフラインでアクセスしてターンバイターンの案内を利用できるようになります。また、ユーザーはiPhoneのマップアプリで独自のウォーキングコースを作成して保存することもできるので、あとからApple Watchだけでコースをたどることができます。
- Apple Intelligenceによって実現する通知の要約は、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxからApple Watchに転送されます1。
- チケットの機能強化により、開場時間や開演のタイミングなど、Appleウォレットのチケットに関するユーザーへの情報提供を向上させます。イベントではライブアクティビティが開始するので、ユーザーは自分の座席やその他の重要な情報をスマートスタックの一番上で確認できます。
- Tap to Cashを使うと、ユーザーはApple WatchをほかのApple WatchまたはiPhoneに近づけるだけで、Apple Cashの送信や受領ができるようになります。
watchOS 11のデベロッパ向けベータ版は、本日よりdeveloper.apple.com/jpを通じてApple Developer Programのメンバーに提供されます。watchOSユーザー向けのパブリックベータ版は、来月中にbeta.apple.comで提供されます。