『Smart Watch Life』編集部のご厚意で、Apple Watch Ultraを貸与して頂くことになりました。
昨年9月に初代モデルが登場したとき、Appleがトライアスロンやウルトラマラソンといった耐久系スポーツ向けの市場に参入したと話題を呼んだ製品です。
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私自身も耐久系アスリートの端くれです。
この1年間のうちでも、100kmのウルトラマラソンや50kmの障害物走など、いくつかの尋常ならざるイベントに挑戦してきました。
そのときには通常のApple Watch Series 8を使用して、こちらにもレポート記事を書いてきました。
ですからApple Watch Ultraには少なからぬ興味があったのですが、現在に至るまで購入に踏み切れていませんでした。その理由は何と言っても価格です。
2023年12月現在、Appleの公式サイトでApple Watchの3製品を比較するページによると、それぞれの価格は以下の通りです。
• SE: 42,800円(税込)から
• Series9: 75,800円(税込)から
• Ultra2: 128,800円(税込)から
通常シリーズ製品の2倍近く、最廉価製品の3倍以上。購入を躊躇するには十分です。少なくとも私にとっては、ですけど。
はたしてApple Watch Ultraはその値段に見合った価値があるのか。
その判断は読者にお任せするとして、私個人の率直な感想をお伝えしようと思います。
デカイ、でも軽い
Apple Watch Ultraの封を開けたとき、最初の感想は「デカイ!」でした。
製品スペックによると、画面のサイズは49mm。私がそれまで使用していたSeries 8は40mmです。その差はわずか9mm。
左がSeries 8(40mm)※ケースを付けた状態、右がUltra(49mm)
その2つを並べてみても、それほど大きな差があるようには見えません。
しかし、実際にApple Watch Ultraを手首に巻いてみると、体感的にはかなりの違いを感じます。
まず、文字や数字が格段に見やすくなりました。
歩きながらあるいは走りながらでもデータを視認できることは、スポーツで使ううえでは大きなメリットです。
画面が大きいことで、文字入力、タップ、スイープといった操作もずっと容易になりました。指が太く、不器用な私にとっては大助かりです。
操作性と言えば、画面の左側にある「アクションボタン」も便利です。
このボタンを押すと「ワークアウト」を一発で開くことができます。
私がApple Watchを使う目的の大部分はこれですので、とても理にかなっています。他にも「ストップウォッチ」、「フラッシュライト」など、変更可能な選択肢がいくつかあります。
2番目の感想は「軽い」でした。
Apple Watch Ultraの素材はチタニウム。Series 8の素材はアルミニウムなのだそうです。そう言われても、私には化学的な違いはまったく分かりませんが。
ただ、実際に着用してみると、Apple Watch UltraはSeries 8よりかなり軽く感じます。本当の重量は逆なのだそうですが、それがつまりデザインと素材の違いなのでしょう。
人にもよるとは思いますが、私自身は「デカイ、でも軽い」Apple Watch Ultraは長時間着用しても苦になりません。
試しに着けたまま寝てもみましたが、まったく問題を感じませんでした。
充電を毎日しなくてよいメリット
もっとも、私は普段の生活では寝るときにはApple Watchを外しています。
睡眠のデータにそれほど関心がないためと、その時間を充電にあてる必要があるからです。
私の使い方だと、Series 8のバッテリーは朝に100%の状態でも夜になると大抵は数10%程度に落ちています。
翌朝すぐに使用するためには、夜のうちに充電をしておかないといけません。
私はよく早朝に走りますので、目覚めたときにはApple Watchがフルチャージしてあることが望ましいからです。
しかし、私はあまり几帳面な性格ではありません。しばしば充電することを忘れます。
酔っぱらって手元が狂い、充電したつもりでもApple Watchがコードから外れていることもあります。
そうなると翌朝にはApple Watchは死んでおり、ランニングのデータを取得できません。
その点、Apple Watch Ultraのバッテリー持続時間ははるかに長く、通常使用で最大36時間、低電力モード使用時は最大60時間(Ultra 2では72時間)と製品スペックにあります。
本当にApple Watch Ultraのバッテリーがそれだけ持つのかどうかを試してみました。
月曜朝に100%の状態で使用を開始し、わざと充電をしないままで着用を続けてみたわけです。
その間、私は1時間程度のジョグを2回行いましたが、ワークアウト時には低電力モードに切り替わる設定にしてあります。つまりGPSと心拍数測定を制限しています。
すると、丸2日たった水曜の朝になってもバッテリーは35%残っていました。
結局、水曜の夜にバッテリー残量は2%となりました。100%の状態から2日半経っています。
ごくごく正常な日常生活を送るのであれば、Apple Watch Ultraの充電は3日に1回でよい。そんな結論を出すこともできるでしょう。
しかしながら、Apple Watch Ultraの真価は多分そこにはありません。その名の通り、非日常的というか、狂気の沙汰というか、とにかく普通の人ならやらないだろう耐久系スポーツの使用に適しているのか。
次回からのレビューではそこに焦点を当てようと思います。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani