ランニングなどの運動をするとググッと数値が上がり、睡眠時などには低い数字で落ち着く心拍数。
その数値が、運動もしていないのに高いままだったり、起きて活動している時間でも低すぎたりすると、各種の疾病のリスクが疑われます。
たとえば脈が速くなるタイプの不整脈には頻脈性不整脈があり、カテーテルアブレーションなどの治療が行われるケースもあります。逆に遅すぎる場合には「徐脈」が疑われます。
こうしたリスクの高心拍数や低心拍数は、常時心拍数を計測してくれるApple Watchで検出可能で、通知を受け取ることが可能です。
さらにApple Watchには、心房細動(AFib)を示唆する「不規則な心拍」を検出して通知する医療機器プログラムも搭載されています。本記事では、設定方法に加えて、Appleの公式情報および添付文書(IFU)の内容をもとに、その仕組みや注意点まで詳しく解説します。
Apple Watchで高心拍数・低心拍数を検出する仕組み

Apple Watchの高心拍数通知・低心拍数通知は、安静時とみなされる状態で一定時間しきい値を超えた(または下回った)場合に通知される仕組みです。
高心拍数については、安静時に心拍数が指定の数値より上がっている状態が10分間続いたときに通知が送信されます。
低心拍数も、心拍数が指定の数値よりも下がっている状態が10分間続いたときに通知が送信されます。
つまり、瞬間的な変動ではなく、「一定時間持続した異常値」を検出する設計になっています。
通知を受け取る方法と数値の設定方法は?

Apple Watchで高心拍数、低心拍数の検出の設定をチェックするには、iPhoneの「Watch」アプリをまず開きます。
左上の横向きの時計のアイコンのアプリです。

そこから画面を下にスクロールしていくと、ハートマークのアイコンの「心臓」という項目が見つかると思います。
次はここをタップしましょう。

表示された画面では、「不規則な心拍リズム(心房細動の疑いのある不規則な心拍)」が検出されたときの通知の有無をチェックできるほか、「高心拍数」「低心拍数」の通知を受け取る数値の設定が可能です。
筆者は特に設定した記憶がありませんが、低心拍が40、高心拍が120で設定されていました。

なお、この数値は10刻みで変更が可能となっています。
「不規則な心拍の通知」とは?医療機器としての位置づけ
Apple Watchの「不規則な心拍の通知」は、日本では管理医療機器として承認されているプログラムです。正式名称は「Apple の不規則な心拍の通知プログラム」。
これは脈拍数データを解析し、心房細動(AFib)を示唆する不規則な心拍を検出した場合にユーザーへ通知する家庭用プログラムです。
ただし重要なのは、これは診断機器ではないという点です。添付文書でも以下のように明記されています。
・心房細動の兆候を補助的に検出するものであり、医師の診断に替わるものではない
・通知結果は1つの参考指標であり、医学的判断を自分で行ってはいけない
・心房細動以外の不整脈は検出できない
・常時モニタリング機能ではない
また、過去に心房細動と診断された人や、22歳未満の方への使用は意図されていないことも明示されています。
どのような条件で検出されるのか

不規則な心拍の通知は、Apple Watchが取得した脈拍データを解析し、複数回の計測値から心房細動を示唆するパターンが確認された場合に通知されます。
データはユーザーが静止しているときにのみ取り込まれます。動作中や強い電磁場の近くでは正確なデータが取得できない場合があります。
さらに以下のような要因も測定に影響することが公式に示されています。
・手や指の動き
・手首への濃い色のタトゥー
・気温低下による血流減少
・装着の緩み
そのため、バンドはぴったりと締め、背面センサーが肌に密着するよう装着することが推奨されています。
臨床試験での精度は?
公式の臨床研究では、22歳以上の573名を対象に、Apple Watchと参照用ECGパッチを最大13日間同時装着し比較が行われました。
その結果、心房細動が確認された被験者140名のうち124名に通知があり、感度は88.6%。心房細動が確認されなかった292名のうち290名には通知がなく、特異度は99.3%でした。
これは「通知が出た場合の信頼性は非常に高い」一方で、「すべてを検出できるわけではない」ことを意味します。
実際、通知が出なかったからといって心房細動がないことを保証するものではないと、添付文書にも明確に記載されています。
心拍通知は“医療の代わり”ではなく“受診のきっかけ”
Appleの公式資料では、この機能は「AFibスクリーニングの判断材料として補足的に使用するもの」と説明されています。
胸痛や強い圧迫感など、心臓発作が疑われる症状がある場合は、この通知を待つのではなく、直ちに医療機関へ連絡する必要があります。
また、通知結果を自己解釈して服薬を変更することも禁止されています。
あくまで、異変に気づくための“早期警戒アラート”。それがApple Watchの心拍通知機能の本質です。
まとめ|高齢者やリスク保有者にこそ意味がある
高齢の方や心臓の疾病リスクを抱えている方にとって、日常生活の中で心拍の異常を自動的に検出してくれる仕組みは、大きな安心材料になります。
ただし、それは診断ではありません。通知が出たら医師へ相談する、症状があるなら通知がなくても受診する。この基本姿勢が何より重要です。
設定を見直し、自分の年齢や体調に合わせた数値に調整しながら、Apple Watchを正しく活用していきましょう。
●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、編集部員は常にスマートウォッチを片腕or両腕に着用。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」にも出演。
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