ディズニー・リゾートと言えば、「地球上でいちばん幸せな場所」のキャッチフレーズで有名ですが、必ずしも万人にとってはそうではない。
そんな事件がフロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで起きました。園内のライドでApple Watchを落としてしまった女性の手元にその時計は戻らず、それどころか、リンクしていたクレジットカードに約500万円もの不正請求をされてしまった。そんな出来事です。
米国内の多くのメディアで報じられています。
Guest Drops Apple Watch on EPCOT Ride & Jumps Out to Get It, Then Has $40,000 in Fraudulent Credit Card Charges
https://wdwnt.com/2022/05/guest-drops-apple-watch-on-epcot-ride-jumps-out-to-get-it-then-has-40000-in-fraudulent-credit-card-charges/
消えてしまったApple Watch
報道によると、この事件は次のように展開したようです。ディズニーパーク「エプコット」にある「シー・ウィズ・ニモ&フレンズ」に乗っていたある女性の手首からApple Watchが滑り落ちてしまいました。
不運なことに、それは通常のApple Watch ではなく、1,300米ドル(約16万4千円)もする、とても高価なApple Watch Hermèsでした。それだけではなく、この女性はApple Payを通して複数のクレジットカードを腕時計にリンクしていました。その中には使用限度額がないアメリカン・エクスプレスも含まれていたのです。
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落としてしまった腕時計はライド内から見えましたが、女性の手には届かない位置にありました。彼女の夫が立ち上がり、ライドから降りて拾おうとして、ディズニー従業員に止められました。その従業員はこの夫婦に腕時計をホテルへ届けると確約したとのことです。
ところが、ホテルに戻った彼女にエルメスのApple Watchは戻りませんでした。ディズニー従業員はなぜかその腕時計を見つけることができず、何処かに消えてしまったのです。
さらに不運は続きます。彼女はその日のうちに複数の疑わしい請求があったとの警告をアメリカン・エクスプレスから受け取りました。彼女はすぐにApple Payからすべてのクレジットカードを外したとのことですが、どうやら間に合わなかったようです。不正請求額はおよそ4万ドル(約500万円)にまでなりました。
その500万円が何に使われたか、そして誰がその請求をしたのかは、現在のところ分かっていません。
残るミステリー
以上が事件のアウトラインですが、他にも分からないことが多くあります。まず、この腕時計は何処に行ってしまったのでしょうか? もし従業員が隠したのでなければ、誰がそれを拾うことができたのでしょうか?
不正請求をした犯人は、どうやってApple Payのパスコードを知ることができたのでしょうか?
パスコードは4ケタの数字で、他人には分からないはずなのです。彼女が誰にでも推測できるような数字を使っていたのかもしれませんが。
いずれにしても、とても高くついた落とし物だったと言うほかありません。Apple Payは大変便利な機能ですが、こうした危険も存在することは覚えておくべきなのでしょう。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani