スポーツ用ウェアラブルデバイスのパイオニアであるポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社は、高機能かつ軽量・薄型構造化を実現した新ランニングウォッチ「Polar Pacer Pro」(ポラール ぺーサー プロ)と幅広いランナー層をターゲットにした「Polar Pacer」(ポラール ぺーサー)を発表しました。
この新ランニングウォッチの発表に際してシドニーオリンピック女子マラソン金メダリストでPOLARのアンバサダーを務める高橋尚子さんのトークセッション&製品体験会が行われました。
トークセッションで高橋尚子さんが語ったスマートウォッチ、そしてPOLAR Pacerの魅力をお届けします。
自動でログを取って可視化できるってすごい
「私がシドニーオリンピックで走っていた頃、今とは比較にはならないんですが、1Kmごとにラップタイムを測らないといけなかったんです」
と高橋さん。そのため記録を付けるのが大変だったそう。
「たとえば50Km走るとすると、50回ラップボタンを押さないといけなくて、昔はそれを手書きでノートに付けていました。どんなに疲れていて、早く眠りたいと思っていてもそれを書き写さないと次の日のトレーニングになりません。それをGPSと連動しながら自動でログを取ってくれるのが、まずはスマートウォッチの便利なところだとトップのアスリートとしてとても感じます」
Polar Pacerシリーズでラップタイムを記録した画面の例
そしてPolarのスマートウォッチの魅力についても以下のように語っていました。
「特にポラールのスマートウォッチは、心拍計測の部分が他のスマートウォッチに比べて優れていると感じます。タイムだけで、また自分の感覚だけではなく、自分では気づけない部分を可視化して理解できるので、成長に繋げられます」
そして高橋さんは「大会に出場して全力を出し切ることができれば、きっと成長を感じられるとは思います」と前置きをしつつ、スマートウォッチの良さを以下のように語ってくれました。
「でも試合の数も少なく、なかなか成長を感じられないときに、こういったスマートウォッチで自分の身体をしっかりを追い込めて、それを可視化できるのはすごく便利だなと感じます」
スマートウォッチが背中を押してくれる
ランニングは基本的に1人で行うことが多いもの。そのため「そんな時に自分のコーチになってくれるスマートウォッチはとてもありがたい存在だと思います」と高橋さん。
「私には小出監督がいて、そばで『もう少し追い込みなさい』とか『それじゃダメだよ』とか声をかけてくれたからこそ、もう少し次の一歩を踏み出すことができました。でも1人で走るみなさんは、自分自身でそれをしなければいけないはずです。でもPOLARのPacerなら、自分のレベルを理解してくれて、練習メニューを自分のデータから作ってくれます。そうしたものを利用して目標を立てていけるというのが便利ですよね」
もう少し自分を追い込まなければいけないときにスマートウォッチを見て、まだ追い込める余地があることが可視化されると「『もう少し頑張れ』という言葉を投げかけられているような感じがする」と高橋さん。
「自分では追い込んでいるつもり、はーはー言って、自分は頑張っているつもりでもどうしても自分に甘くなってしまうことってありますよね。でもそれが可視化されると、自分が頭で考えているよりも体はまだまだ元気じゃないか、ということを知り、それがモチベーションになります」
また、一般のランナーの人は自分で長期的なスケジュールを組むのも難しいが、ポラールの場合はランニングプログラムという機能がある。
「今日は少し落とした練習をしようとか、今日はしっかり追い込もうとか、用途用途に合わせた練習のスケジュールが立てられるのも大切なことだと思います。何ヶ月も同じ練習をしていても一気に強くなることはできません。オリンピックで記録を狙うときも、例えば1年前から2週間後にはこれくらいに、3ヶ月後にはこれくらいに、と計画を立てて、少しずつステップアップするような形を取っていました。
スマートウォッチがそのステップアップのパートナーでありコーチになってくれます。自分の目標にしっかりターゲットを当ててレベルアップすることにつながるのだと思います」
「食べる」「寝る」「走る」の3大要素
そして実際に使ってみて感心したポイントとしては、「ロングディスタンスでゆっくり走った時と、インターバル走で強度を上げて走った時の消費栄養素がわかるのもすごい!」と高橋さん。
「このスマートウォッチでは、タンパク質、炭水化物、脂質をそれぞれどれだけ消費したかがわかります。自分が必要とする栄養素が何なのかが走った後にわかるというのはとてもありがたいです。
私たちアスリートは「食べて」「寝て」「走る」というのが3大要素で、その3つとも同じように大切にしています。どれが欠けてもパフォーマンスにつながりません。
練習さえすれば速くなると思ったら大間違いで、睡眠もしっかり取らないといけない、栄養もしっかり補給しなければいけません。痩せなければいけないけれども、42.195kmをしっかりと走り切るだけの体力をつけて身体を作っていくことが必要です」
そしてPOLARのスマートウォッチが水分補給のタイミングも教えてくれることに言及。
「私たちは試合の時は5kmごとに給水を取ります。私自身は2時間くらいのジョギングならば水分は取らないんですけれども、やっぱり多くの人が脱水症状になったり、栄養がなくなってブラックアウトしてしまったりということがあります。
特に夏場の季節は、先手先手で水分を取っていかなければいけません。喉が渇いたと自覚した時にはもう遅いのです。
喉が渇いたなと思うことなくゴールまで辿り着くのがとても大切なのですが、走りに集中してしまうと水分補給を忘れてしまって、気がついた時には喉が渇いた状態になっていることがよくあります。練習と時も、あの地点までもう少し頑張ってから飲もうと思ってしまったり、大会などで、給水地点にたくさんの人がいる状態だと「次でも良いかな」と思ってしまったりします。
自分の給水のタイミングをスマートウォッチに設定しておくと知らせてもらえるのがとても便利です。大会であれ、自分の練習であれ、水分やエネルギーの補給をしっかり計画を立てて取っていくことをお勧めします」
Polar Pacer
また、睡眠計測の機能があることにも触れ、その大切さも以下のように語っていました。
「私は朝起きて心拍数を測るということを、現役の頃からずっと長いことやっています。現役時代だと、朝起きた直後の心拍数は30から36くらいでした。心拍数が32くらいだと「今日は疲れが取れてしっかり休めたな、朝練習も余裕で走れるな」とか、46くらいだとあまり休めていないのでしっかりと準備体操とかを入念に行ってとか、自分の体調に応じて怪我に気をつけたりしていました。
今はこのスマートウォッチをつけているので、起きて1秒でわかりますし、わざわざ紙に記録していなくても自動で記録してくれます。
「食べる」「寝る」「走る」が3大要素ですが、「走る」に関してはタイムだったり心拍だったり順位だったりでしっかりと感じることができますし、「食べる」ということも自分でコントロール可能で、体重の変化などで感じることもできます。
ただ「寝る」に関しては自分がどれだけしっかりできているのか自覚できないんですよね。疲労回復がしっかりできているのかは、自分ではよくわかりません。でも、POLARは寝返りを何回したかくらいまでわかるレベルで、深い睡眠、浅い睡眠まで細かく出してくれます。
また、その睡眠の質を点数で表示してくれて、「今日のあなたの睡眠は3.5ですよ」とか「今日のあなたの睡眠は1.2です」というような評価をされるので、今日は疲れが取りきれてないなとかを可視化できます。
着け始めのうちは自己評価とスマートウォッチでの評価に差があることもありましたが、最近は「よく寝たな」と思うと3.5以上の数値が出ますし、自分の身体を理解し始めてきたのかなと思ています。
1日の1/3を睡眠に使っているわけですから、自分の身体を知るために必要な機能ですし、その8時間をどうやっていいものにするか、寝る前にどういう行動を取ったらいい睡眠につながるかということに気をつけるようになりますね」
Pacerシリーズの魅力
Polar Pacer Pro
高橋さんは私は以前はPOLARの「Vantage M」を着用していたそうですが、同モデルと比較して「このPacerは軽くて薄くてフィット感があります」と話していました。
「もちろん今までは別に違和感を感じていなかったのですが、いざ使ってみると画面がきれいで見やすいですし、薄くて邪魔になりません。
また走っていて、パッとトレーニングの強度が一目でわかるのがいいところです。表示されているリングの色が赤の時はしっかり追い込めてる、青の時は追い込めてない、ということで、練習の中で一人でそれがわかるのがいいところです。
そしてPacerでは「ランニングパワーが計測できる」という点も魅力に感じているそう。
「私はいつも90分から120分くらい走っています。現役の時のような速いペースではないですけれども、確認したら平均のパワーは350くらいと表示されています。ハードなトレーニングだと600くらいいくこともあり、今までの最大で言うと700くらいですね。この数値自体が高いのかどうかはわからないのですが、自分の強度が可視化されるのがいいところ。
ランニングをされる方だったら、例えば1km4分ペースで10km走り、その時のパワーが、1週間後に同じペースで走った時のパワーと比べてみて、自分の成長がわかります。そんなにパワーを使わなくても同じペースで走ることができているならば、効率の良い走り方ができるようになってきた証拠です。同じ練習を比較することによって、自分の変化や成長を知ることができますね。
そのほか「今日走ったところが、上り坂が何%で下り坂が何%だと分かるのが凄いし不思議です!」と、本モデルの凄さを熱弁していた高橋さん。
「ルートガイド機能もとても便利です。私たちは試合に行くと試走をします。初めてのコースで試走をする時は、その道をよく知らないので、必ず監督やコーチが車でついていてくれて「三つ先を右に曲がるよ」とか指示をするんですけど、繁華街のようなところだと車を置けないので、監督やコーチの指示を受けられず迷子になってしまったり、間違えたりすることがあるんです。
先日の東京マラソンでも新谷ちゃんが試走している時に道を間違えて迷子になったっておっしゃってました。例えばみなさんが出張に行ったりして、その知らない土地で1時間くらいジョギングをしたい、ってなった時に、なかなかその土地がわからないと難しかったりしますよね。
それを、アプリを使って今日のコースを入れておくとカーナビのように導いてくれます。次の道を右に曲がります、とか左に曲がりますとか、ナビをしてくれるので安心ですね。
私も海外のいろんなところで迷子になった経験があります。世界陸上に初めて行った時に前々日くらいに本当に軽く走って終わる時間だったんですけれども、迷子になって2時間半くらいジョギングをした経験があります。こういったハプニングもルートガイドを使えば防げるのかなと思います。
トップアスリートでも結構迷子になるんです。鈴木亜由子ちゃんなんて、都道府県対抗女子駅伝でアップをしている最中に迷子になって、アップをしながらタクシーで現地に戻ってきたことがあります!(笑)
ボーッと走っていると迷子になってしまったりするので、この機能をカーナビのように登録できるのはすごい。ぜひ使っていただきたい機能です」
ウォーキングテスト・ランニングテストについて
「ウォーキングをされている方は多いと思います。季節を感じられて気持ちいいですよね。でも、ウォーキングって何がよくて、質が高いウォーキングってどういうことなのかなと思いますよね」と高橋さん。そして、本モデルの「ウォーキングテスト」の機能についても使った感想を述べてくれました。
「ウォーキングテスト、先日私もやってみたんですけれども「あなたのレベルは『中』です」と判定されてしまって、「え〜、ちょっと、中なの!」と思いましたけれども(笑)、今度は絶対に「高い」にしてやろうと意気込んでます。
本モデルには新機能として、ウォーキングテストが搭載
テスト中は「速度をこれくらいにしてください」とか「心拍はこれくらいにしてください」というような指示があります。その指示に合わせて歩いているとスコアが出てきます。ウォーキングの質が上がってくればもっと外に出るのが楽しくなってくるはず。気軽にできますので、ぜひ皆さんにチャレンジしてほしいですね。
ランニングテストの場合はビルドアップ走のようなスタイルで、心拍とスピードを連携させて「最初はこのくらいのスピードで」というペースの指示が出ます。それがどんどんビルドアップのような形で「もう少しあげてください」「もう少しあげてください」というようにペースを指示どうりに走って、限界になるまで走ってランニングテストが終了になります。
1週間に1回とか、1ヶ月に1回とか、自分のスケジュールにランニングテストを組み込んで、自分の成長や変化を知ることができることがいいところだと思います。
テストという言い方をすると身構えてしまうかもしれませんが、一人でビルドアップ走をするっていうのはなかなかモチベーションが保てないと思います。自分のレベルを知りながらうまくランニングテストを組み込んで、試合のようなモチベーションで取り組めば、きっと自分の能力を上げていくことができると思います。本当に時計の進化がものすごいんだな、ということを強く感じているところです。
みなさんもぜひ使ってみてください」