ランナーにとってのFitbit Charge 5の価値
私はFitbit Charge 3から5へと、1段階スキップしてスマートウォッチをアップグレードしました。
そのせいもあって、自分にとって目新しい機能がCharge5には数多くあります。
特に、毎日のように飽きもせず走ることが習慣になっているランナーの私にとって、もっとも嬉しかったことの1つがGPS機能です。
Charge 3 には自前のGPS機能がなく、携帯電話のデータを使用しなくてはいけませんでした。
おかげで距離や歩数、心拍数などの従来からあったデータのほかに、今では走ったコースが地図つきでFitbitアプリに記録されます。
後から走った記録や記憶を振り返るのにとても便利です。
当サイトの別の詳細レビュー記事で紹介したGPSのデータ。精度も非常に高いと感じた。
さらにもう1つ、通常のランニングとは別に「トレッドミル」を運動の種類として選べるようになっていることも、ランナーにとっては朗報です。
当然のことですが、トレッドミルでは場所を動きません。Charge 3 でもトレッドミルを走ったときの心拍数や歩数などのデータを表示していましたが、どうも正しいデータが取得できていないような気がしていました。
走る習慣を持たない人には分かりにくいことかもしれませんが、ランニングとは外的要因にかなり左右されるエクササイズです。
仮に同じ距離を同じペースで走ったとしても、暑い日はきついですし、雨の日はつらいです。仮に同じような天候であっても、そのコースがロードなのかトレイルなのかで、主観的な疲労度や使用する筋肉は大きく異なってきます。ましてや屋内のトレッドミルで走るとなると、屋外を走るのと同じような身体動作でありながら、まるで別のエクササイズのように感じることもあります。
そうした違いを客観的なデータで比較してみたいと思い、またもやFitbit Charge 5 と自分の身体を使った人体実験を行ってみました。
60分間の軽いジョグという条件を同じにして、ロード、トレイル、そしてトレッドミルで走ったデータをFitbitアプリで比較したものです。
【あわせて読みたい】Fitbit Charge5の機能全般の使用レビューはこちら。バンド型モデルではNO.1の使い心地と多機能さ!
平坦なロードを走ったとき
自宅を出発して、約9キロの周回コースを走ったときの記録です。コースを通してほぼ平坦で、交通量もごく少ないので、軽めのジョグをするときに重宝しています。信号待ちが4か所ある以外は、立ち止まることはありません。私のジョグペースでは大体60分くらいかかります。
Fitbitアプリ上の記録1-1:ロード
Fitbitアプリ上の記録1-2:ロード
心拍数は約60分間のうち、14分間が脂肪燃焼ゾーン、43分間が有酸素運動ゾーン。ちょうどその境目くらいのところを上下していたようです。見ての通り、走り始めの数分を除いて、ほぼ一定しています。
ペースが時々落ちているのは、多分信号待ちで立ち止まったからではないかと思います。
この運動で消費したカロリーは504カロリー。ちなみに缶ビール1缶が約150カロリーだということです。つまり、約1時間走れば、缶ビール3本までは飲んでも太らない、ということですから、まずは満足するべき成果ではないでしょうか。
アップダウンが激しいトレイルを走ったとき
自宅から車で10分ほど離れたトレイルコースを走ったときの記録です。かなり激しいアップダウンがあるうえ、地面は凸凹が多いので、注意が必要です。その分、脚の筋肉が多方向から鍛えられている実感があります。60分間という実験要素を合わせるため、約30分過ぎたところで折り返しました。
Fitbitアプリ上の記録2-1:トレイル
Fitbitアプリ上の記録2-2:トレイル
トレイルランがロードと大きく異なるのは、一定のペースで走り続けられないということです。言うまでもありませんが、上り坂はペースが落ちますし、険しい箇所では歩く局面もでてきます。心拍数も3分の1以上にあたる24分間でピークゾーンに入っていました。
平地や下り坂ではジョグのような感覚で走りましたが、やはり走行距離はロードより700メートルほど短くなりました。それにもかかわらず、消費カロリーは10%以上にあたる60カロリーほど多くなりました。つまり、それだけトレイルランはロードよりきつい、その分だけダイエットには向いている、ということのようです。
ちなみにこのFitbitアプリのデータで高低差が表示されないことは、トレイルランナーにとっては折角のGPS機能も画竜点睛を欠くものだと言えるでしょう。トレイルランナーがコースの難易度を評価するときは、距離よりむしろ累積標高差に比重を置くからです。
室内でトレッドミルを走ったとき
近所のジムにあるトレッドミルで60分間走ってみたときの記録です。個人的にはトレッドミルで走るのは、あまり好きではありません。私が住んでいる南カリフォルニアは温暖で雨も少ないので、屋内で走る必要性をそれほど感じないこともあります。
それでも天候に左右されない、快適で安全なエクササイズを求める人は多いようで、このジムでもトレッドミルは人気があります。ずらりと30個くらい並んだトレッドミルが、すべて塞がっているときもあります。
Fitbitアプリ上の記録3-1:トレッドミル
Fitbit Charge 5 のトレッドミル計測機能はかなり正確のようです。心拍数と消費カロリーはロードとほぼ同じ結果が出ました。トレッドミルの方がやや距離が長くなっていますが、信号待ちで立ち止まることがないことを考えると納得できます。一定のペースで走り続ける、ということに関しては、トレッドミルがもっとも優れているようです。
3つのランニングでダイエット効果が高かったのは?
実験結果まとめ: 約60分間を軽めのジョグペースで走る
ロード | トレイル | トレッドミル | |
距離 | 8.77 km | 8.04 km | 9.33 km |
平均心拍数 | 134 bpm | 148 bpm | 125 bpm |
最高心拍数 | 157 bpm | 173 bpm | 147 bpm |
消費カロリー | 504 カロリー | 561 カロリー | 510 カロリー |
歩数 | 8,884歩 | 9,037歩 | 9,607歩 |
同じ時間なら、平坦なロードを走るより、起伏のあるトレイルを走る方が、ずっとダイエット効果は高い。
平坦なロードとトレッドミルの間では大きな差はない。
私の結論はこの通りになります。
私個人の好みではトレイルランが断然好きで、次にロード、最後がトレッドミルなのですが、もちろんそうではない人がおられることは承知しています。
空調が効いたジムの中なら、暑くも寒くもないし、雨に打たれることも、風に押し戻されることもない。だからトレッドミルの方が外を走るよりよっぽどイイよ、と言う意見があっても不思議ではありませんし、理屈ではその通りだなあと思うからです。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani
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