香港に拠点を置くリサーチ企業『Counterpoint Research』が2021年第3四半期のスマートウォッチ世界市場の動向調査報告書を発表しました(*1)。
調査報告書によりますと、最近Galaxy Watch 4の販売を開始したSamsung社(サムスン)の業績が快調で、スマートウォッチ市場でトップを走るApple Watchとの差を縮めているとのことです。
Google Wear OS陣営がApple陣営を脅かす?
Counterpoint Research社のプレスリリース(*1)より
Galaxy Watch 4は自社のTizen OSを使用することをやめ、Google Wear OSと提携することで話題を呼びました。そのおかげで、2021年第3四半期にサムソンは最大出荷量を更新したとのことです。調査報告書はこのOSプラットフォーム変更が購買者を引きつけている最大の要因であると報告しています。
調査報告書はさらに細かい数字を挙げ、興味深い傾向を紹介しています。
スマートウォッチ全体では世界中の出荷量は前年同月比で16%増加しました。これは世界が新型コロナウイルスの脅威から抜け出しつつあることを示しているようです。
サムスンがWear OS陣営に加わったことで、同陣営のスマートウォッチ市場に占めるシェアは2021年第2四半期の4%から同第3四半期には17%へと急増しました。
Counterpoint Research社のプレスリリース(*1)より
現在もApple Watchがスマートウォッチ市場でトップの位置を守っていますが、アップルの市場シェアは昨年に比べて10%減ってしまいました。最新のシリーズ7に斬新なデザイン変更や機能追加といった話題に乏しかったことが、購買者の失望を招いてしまったようです。
Counterpoint ResearchのSujeong Lim研究員は「サムスンとの提携によって、Google社はウェアラブルOS市場で確固たる立場を獲得した。今後もさらにオープンなウェアラブルのプラットフォームへ発展していく」と述べています。
サムスンが2021年第3四半期に出荷したスマートウォッチの60%以上は北米とヨーロッパにおけるものです。そこでは価格の高いモデルが中心でした。サムスンはさらなるシェア拡大を図るために、2~3年のうちにアジア市場に廉価版のモデルを投入するだろうと、調査報告書は予想しています。なぜなら、2021年第3四半期に販売されたスマートウォッチ全体では3分の1以上が100米ドル(約1万1500円)未満の価格だったからです。
スマートウォッチ市場で第3勢力になるのは
調査報告書ではインドのスマートウォッチ市場が急成長していることも2021年第3四半期のハイライトとして挙げています。Noise とboAtの2大ブランドを中心に前四半期から2倍以上の出荷量なのだそうです。
アジアではHUAWEI(ファーウェイ)が少し数字を落としました。そのシェアをサムスンが奪った形です。それ以外にもGarminやAmazfitなどが業績を伸ばしているとのことです。
*1. Wear OS Share Surges on Samsung’s Highest Quarterly Smartwatch Shipments in Q3 2021.
https://www.counterpointresearch.com/wear-os-share-surges-samsungs-highest-quarterly-smartwatch-shipments-q3-2021/
執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani