Fitbit Charge 5に追加されたリフティングとインターバルトレーニング
フィットネストラッカーとして高い評価を得ているFitbitの最新モデルCharge 5には従来の有酸素運動(ラン、水泳、自転車)に加えて、「リフティング」と「インターバルトレーニング」の効果を測定する機能があります。
「リフティング」とは主にバーベルやダンベルなどを持ち上げる、いわゆる筋トレのことです。
「インターバルトレーニング」とは強度の高い運動と低い運動(あるいは休み)を短時間で交互に繰り返す運動のことを指します。
Apple Watchなどに比べると、Fitbit Charge 5で選択できる運動の種類はさほど多いわけではありません。そもそも、一般的にはスマートウォッチやフィットネストラッカーの運動計測機能は有酸素運動に偏る傾向があることは下記の記事で紹介しました。
【あわせて読みたい】Apple Watch等のスマートウォッチが筋トレ効果の測定に向いていない理由とは?
運動や健康関連のデータを検知するセンサーの精度が高いことで知られるFitbitの最新モデルでは、この弱点をどれだけ克服しているのか? と少し意地悪いテーマで、自分の身体を使った人体実験を行ってみました。
この実験は筆者が所属しているクロスフィットのジムで行いました。
クロスフィットは重いモノを扱った本格的なリフティングを行いますし、かなり負荷と難易度が高いエクササイズを短時間で行うインターバルトレーニングでも有名です。この2つの種類の運動効果を測定するにはまさに最適だったのです。
なおFitbit Charge 5の機能全般のレビューは下記の記事で別途紹介しています。
【あわせて読みたい】Fitbit Charge5使用レビュー。バンド型モデルではNO.1の使い心地と多機能さ!
クロスフィットのジムで検証をスタート!
リフティング:ヘビーな筋トレをFitbit Charge 5はどう認識したか
まずはリフティングから。バーベルを肩に担いでしゃがむ「バックスクワット」と、同じくバーベルを地面に置いた状態から膝の上まで持ち上げる「デッドリフト」を行ってみました。
メニューは以下の通り。
- バックスクワット ― 88キロの負荷で、1セット5回を5セット
- デッドリフト ― 115キロの負荷で、1セット5回を1セットのみ
バックスクワットを行う筆者
デッドリフトを行う筆者
私の体重は現在60キロ弱しかありませんので、バックスクワットの重量は体重の約1.5倍、デッドリフトは体重の約2倍になります。
本格的なパワーリフターには物足りませんが、一般人のレベルだとかなりきつい、高重量低回数の設定です。
所要時間は約30分。セット間に2~3分の休憩を入れるので、どうしてもそれくらいはかかります。
ちなみにウォーミングアップの時間は含めていません。
主観的には下半身全体の筋肉がパンパンに張り、普通に歩くことも困難なくらい疲れました。
しかし、Fitbitダッシュボードの記録では、心拍数も消費カロリーもほんの軽いジョグと同じくらいの程度でしかありませんでした。
Fitbitダッシュボードに表示された上記リフティングの記録
インターバルトレーニング:難易度の高いワークアウトをFitbit Charge 5はどう認識したか
続いてインターバルトレーニングです。
クロスフィットでは毎日異なるメニューのワークアウトを皆で行います。
その中でも、かなり負荷も難易度も高かった日のメニューは以下のものでした。
- 3分を1ラウンドとして、以下のエクササイズを最大回数行う
- パワースナッチ(40キロ)1回
- リング・マッスルアップ2回
- 逆立ち腕立て伏せ3回
- 各ラウンド間に1分間の休憩
これでは何が何だか分からないという方も多いでしょうが、各エクササイズの説明を始めると大変長くなってしまうので割愛します。ご興味のある方は下の動画をご覧ください。
もちろん、そんなものにまったく興味は無い! と言う方は見なくても結構です。ただ、かなりきついエクササイズを連続して3分間4ラウンド、1分間の休憩を入れて行うのだ、ということをご理解ください。時間形式はプロボクシング4回戦と同じですね。
Fitbitダッシュボードに表示された上記インターバルトレーニングの記録
こちらも主観的にはかなりきついワークアウトでした。ラウンド間は息も絶え絶え、全4ラウンド終了後は皆が床に倒れ込むくらいでした。
しかしながら、ここでもFitbitダッシュボードを見ると、リフティングの時よりはやや心拍数と消費カロリーが高く表示されましたが、それでもやはり軽いジョグと同じくらいの程度でしかありません。
ちょっと速めのジョグと比較してみると
サンクスギビングの朝に行われた5キロの「Turkey Trot」
上記2つとほぼ同じくらいの時間を走ったときのデータも比較対象に紹介します。
この実験を行ったのは11月25日。米国ではサンクスギビング(感謝祭)と呼ばれる休日で、その朝に地元の人が集まって5キロくらいの短い距離を一斉に走る「Turkey Trot」と呼ばれる習慣があります。
私が参加したのは、息子がかつて所属していた高校クロスカントリー走部の現役生徒・OBや保護者が集まる同窓会のようなイベントです。
長距離ランナー、あるいは元ランナーの集まりですので、一般よりは速いかもしれません。ついつい私も周囲に煽られて、普段のジョグよりは少し速いペースで走りました。それでも会話をしながらですので、けっしてレースのように追い込んだわけではありません。
Fitbitダッシュボードに表示された上記ランニングの記録
このランニングは文字通り休日の朝飯前でしたし、私にしてはちょっと頑張ったかな、くらいの距離とペースでした。
走り終わった後もすぐにドーナッツを頬張りながら皆と談笑できたくらいです。
それにもかかわらず、Fitbitによると、走っている最中はほとんどの部分で心拍数はピークのゾーンに入っていて、消費カロリーも上記2つの倍近くになっています。
まとめと感想
リフティング | インターバルトレーニング | ランニング | |
平均心拍数 | 110 bpm | 116 bpm | 152 bpm |
最高心拍数 | 142 bpm | 137 bpm | 175 bpm |
カロリー/分 | 5 カロリー/分 | 6 カロリー/分 | 10 カロリー/分 |
歩数/分 | 34歩数/分 | 53歩数/分 | 154歩数/分 |
主観的感想 | 結構疲れた | 死ぬほど疲れた | 心地良く疲れた |
あくまで私の体感からすれば、の話ですが、Fitbit Charge 5 の運動計測機能は、リフティングとインターバルトレーニングの効果を、ランニングに比べてかなり低く評価しているような感想を抱きました。
少なくとも、主観的な疲労度や筋肉痛の程度からすると、ダッシュボードに表示された数値(心拍数、消費カロリー、歩数)はどれも少なすぎるように思います。
もちろん、私が基本的には走ることを好むランナーであることも、このことに大いに関係していると思います。
力士やプロレスラーのような体格の人なら、私が行ったようなリフティングをきっと鼻息混じりでこなすに違いありません。その代わり、彼らがランニングをすれば、その後の疲労度は私よりはるかに大きくなるでしょう。
●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani
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