最近フィットネスやダイエットに関する英語のウェブサイト等で「N.E.A.T.」という言葉をよく目にするようになりました。
日本語の「ニート」によく似た発音ですが、もちろん意味はまったく違います。
「N.E.A.T.」 とは”Non-Exercise Activity Thermogenesis” (非運動的活動で発生する熱量)の頭文字。あらたまったスポーツやトレーニングではない日常的動作(家事や買い物など)で消費されるエネルギーのことを意味します。
さらに言えば、「neat」という単語には「整っている」とか「カッコいい」というニュアンスもあります。
「コロナ太り」の現象下で注目を浴びる
「N.E.A.T.」と言う言葉自体はずっと以前からありますが、最近になってまた流行りだした背景には、新型コロナウイルスの影響があると思われます。
ジムが閉鎖されたり、外出の機会も減ったりしたことで、運動不足を感じる人が多くなりました。
いわゆる「コロナ太り」と呼ばれる現象です。
そこでジムに行かなくてもできる身体的活動が注目を浴びるようになりました。
健康やダイエットの観点からすると、脂肪を燃やすための身体的活動は必ずしもランニングや筋トレである必要はありません。
もちろん、走っても、ダンベルを持ち上げても、消費カロリーは増えます。
しかしながら、それと同等のエネルギーは、駅でエスカレーターを使わずに階段を上る、買い物で少し遠回りして歩く、掃除で家具を動かす、そんな日常動作でも十分に使われるのです。
N.E.A.T. のメリット
運動をすることが健康に良いことにはもはや疑問の余地はありませんが、面倒であったり、多忙であったり、様々な理由でジムに通い続けることが困難な場合があります。
頑張り過ぎて、疲労を溜め過ぎることも、怪我をしてしまうこともあるでしょう。
それよりも、日常生活の中でN.E.A.T. を心がけるだけで、「健康のために必要なエネルギーを消費する」というハードルははるかに低くなります。
なにしろN.E.A.T.には何の器具も要りませんし、特別なスキルも無用です。忙しい人でも、N.E.A.T.のために余分な時間を絞り出す必要はありません。
むしろ、歩くときに早足にしたり、エレベーターを待つ代わりに階段を使ったりすることで、日常の時間を節約することさえできるのです。
N.E.A.T.はけっして新しい概念ではありません。あのブルース・リーは約半世紀も前、著書『Tao of Jeet Kun Do/日本語訳名:秘伝截拳道への道』の中で下のような言葉を残しています。
「なるべく歩くようにしなさい。たとえば、目的地から数ブロック離れた場所に駐車するように。エレベーターを使わずに、階段を上りなさい」
スマートウォッチで把握できる日常動作の活動量
N.E.A.T.に問題があるとすれば、その活動量を記録しにくく、また成果も実感しにくいことでしょう。その意味でスマートウォッチを装着して毎日を過ごすことには大きなメリットがあります。
スマートウォッチの優れた点はスポーツをしている時間だけに限らず、トータルでの身体的活動量を把握できることです。
実際にジムで1時間筋トレをした以外はゴロゴロしていた1日と、家じゅうの大掃除をして動き回った1日の、カロリー消費量を比較してみて下さい。おそらく後者の方がはるかにカロリー消費量は大きくなるはずです。
少し以前までは、健康に関心があって、それでもあまり激しい運動を好まない人たちの間で万歩計が流行りました。
1日1万歩を目標にした人も多いでしょう。
スマートウォッチは歩く以外の動作も検知しますし、カロリー消費量や心拍数など、多角度な方面から日々の身体的活動量を把握することができる、強い味方です。
執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani
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