購入するスマートウォッチを決めるときには、「Suicaが使えるかどうか」「予算が1万円以内」「登山で役立つ機能が充実しているほうがいい」などなど、人それぞれに基準があるでしょう。
そして、気にしている人がけっこう多いのが「防水性」。
本記事では、「各ブランドのスマートウォッチの防水性はどの程度なのか」「どのくらいの防水性があるのが望ましいのか」について解説します!
あなたが求めている防水はどの程度の防水?
スマートフォンを購入するにせよ、スマートウォッチを購入するにせよ、「防水性はどうなのか?」とチェックする人は一定数いるでしょう。
そうした人が気にする「防水性」とは一体どの程度の防水性なのでしょうか。
おそらくは「何かの拍子に水の中に落としてしまっても大丈夫か」「水道を使ってるとき、水滴が着いても気にしなくていいか」「お風呂でそのまま使えるか」といったレベルのものではないでしょうか。
「水泳中も使える防水性があるものがいい」という人はいるでしょうし、「ダイビングをするので水深30mくらいまでは潜れるスマートウォッチがいい」という人も中にはいるかもしれませんが、全体からすると少数派でしょう。
なおダイビングで本格的に使いたい方には、「スマートウォッチ」と呼ばれる腕時計より、ダイビング中の機能に特化した「ダイビングコンピューター」と呼ばれる腕時計がオススメです。
日本時計協会 (JCWA)が定める防水性の種類とは
なお、ここまでの説明を読んでいて、「いや、水泳でもダイビングでもスマートウォッチを使わないし、もっと身近なレベルの防水性があればいいんだけど……」と感じた人が多いのではないでしょうか。
では、身近なレベルの防水性とはどの程度のものなのか、日本時計協会がホームページで記載していた「防水時計の種類と取扱い上の注意点」を見てみましょう。
名 称 | 仕 様 | 表示例 | 用途/取扱い注意事項 |
---|---|---|---|
飽和潜水時計
(JIS2種 |
200m ~1000m 防水 |
HE-GAS DIVER’S 300m | 表示されている水深(例:300m)までの潜水に耐える防水性を備えています。 潜水時間、減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルなどの装置付で、ヘリウムと酸素の混合ガスの呼吸気体を利用し、深海で潜水する時(飽和潜水)に使用する時計です。 |
空気潜水時計
(JIS1種 |
100m ~200m 防水 |
AIR DIVER’S 100m | 表示されている水深(例:100m)までの耐圧性と長時間の水中使用に耐える防水性を備えています。 潜水時間、減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルなどの装置付で、ボンベに圧縮空気の呼吸気体を入れて浅海で潜水する時(スキューバダイビングなど)に使用する時計です。飽和潜水用に使用することはできません。 |
日常生活用 強化防水時計 (JIS2種 防水時計) |
20気圧 防水 |
WATER RESIST 20BAR WATER 20BAR RESIST W.R.20BAR |
水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)及び素潜り(スキンダイビング)をされる方にお使いいただけます。 飽和潜水用や空気潜水用に使用しないで下さい。 |
10気圧 防水 |
WATER RESIST 10BAR WATER 10BAR RESIST W.R.10BAR |
||
5気圧 防水 |
WATER RESIST 5BAR WATER 5BAR RESIST W.R.5BAR |
水に触れる機会の多い水仕事(漁業・農業・洗車・食堂など)や水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)をされる方にお使いいただけます。 素潜り(スキンダイビング)及び飽和潜水用や空気潜水用に使用しないで下さい。 5bar以上の防水時計でも水圧の激しいシャワーや水道水が直接時計に当たらないようご注意下さい。 |
|
日常生活用 防水時計 (JIS1種 防水時計) |
2~3気圧 防水 |
WATER RESIST W.R. |
日常生活での汗や洗顔のときの水滴、雨などに耐えられるものですが、水仕事、水上スポーツ、素潜り(スキンダイビング)、潜水には使用しないで下さい。 水圧の変化が激しい条件では使用しないで下さい。 |
非防水時計 | 裏ぶたに、WATER RESISTの表示がないものは、直接、水に触れないよう注意してご使用下さい。 |
日本時計協会 (JCWA)「防水時計の種類と取扱い上の注意点を教えて」より引用
これを見ると、多くの人が求めている防水性は2~3気圧防水のはず。
頻繁に水に触れる仕事(例に挙げられていたものだと洗車や食堂の洗い場など)の人でも5気圧防水程度になるでしょう。
逆に言えば、「10気圧防水」「20気圧防水」のような防水性能を備えたスマートウォッチは、日常生活ではハイスペックすぎるともいえます。
ハイスペックすぎて困ることはないですが、「5気圧防水の製品より10気圧防水の製品のほうがいいか」という基準で製品を選んでいると、予算が膨れ上がってしまうことはあるでしょう。
5気圧防水=50m耐水。つまり表示が違うだけで同じ意味
ちなみに、腕同型の防止性能の表示では、「5気圧防水」のほかにも「50m耐水」といったようにメートルで防水性能を表すケースもあります。
ちなみに50m耐水とは、上の日本時計協会の基準で言うところの5気圧(ATM)防水に相当します。
単位が違うだけで、「50m耐水」「5気圧防水」「5ATM防水」などは、。言い表している防水性能は同じ……ということです。
ちなみにJIS(Japanese Industrial Standard=日本工業規格)では、日常生活用の防水表示はbar(気圧)表示で、潜水用の場合はm(メートル)表示をすることになっているそうです。
有名なスマートウォッチの防水性はこのくらい!
では、名前のよく知られたスマートウォッチの防水性はどの程度なのか、以下にいくつか例を挙げてみます。
・Apple Watch:50m耐水
・Apple Watch Ultra:100m耐水
・HUAWEI WATCH Ultimate:10気圧の防水性能
・Fitbit Sense 2:50m耐水
・Galaxy Watch 5:50m耐水
・Xiaomi Redmi Watch 3 Active:50m耐水
またApple Watchについては、ホームページ上に「Apple Watch Series 2 以降は、プールや海で泳ぐなど、浅水域での水上アクティビティで使えますが、Apple Watch Ultra 以外のモデルは、ダイビング、水上スキーなど、水圧が高く、深く潜水するようなアクティビティでは使わないでください」との記載があります。
なお、大手ブランドのスマートウォッチを色々とチェックしてみたところ、多くが30m耐水~50m耐水程度の防水性能を持っていました。
Garminの「防水等級について」のページも参考になる!
なお大きめのスマートウォッチブランドや腕時計ブランドのホームページには、防水性能について詳しく解説したページが用意されています。
Garminにも「防水等級について」というページがあり、以下のような記述がありました。
IP規格とはなんぞや?
スマートウォッチでも「IP67」「IP68」という表示がある製品は多いと思いますが、このあたりも生活レベルの防水性能を表す表示と言えます。
このIP規格とは、IEC(国際電気標準会議)が定めた、電子機器の防塵・防水性能を表す国際的な規格で、日本のJIS(日本工業規格)も準拠している信頼できる規格となります。
IPはIngress Protection(侵入に対する保護)のことで、機器内部への塵(ほこり)や水の侵入にどれだけ耐えうるかを表します。
ちなみにIPの後の2つの数字は、前の数字が防塵性能、後の数字が防水性能を表しています。
上の表で「IPX6」「IPX7」などと書かれている部分の「X」は、前の数字を省略する意味で「X」と書かれている形で、「IPX6」は防水性能を表す数字が6……という意味になります。
日本エイ・ヴィー・シー株式会社という企業のホームページに、非常にわかりやすい表が出ていたので引用して紹介しておきます。
日本エイ・ヴィー・シー株式会社 IP規格・防水保護構造及び保護等級
数字が小さいほど防塵性能・防水性能が低く、大きくなると性能が高くなる……ということが分かりますね。
このIP規格で最も数字が大きいのはIP68で、IP68の場合は「完全な防塵構造で水面下での使用が可能」の状態になります。
50m耐水でも50m潜れるわけじゃない!
また下の方の記述を見れば分かるように、水泳でスマートウォッチを使いたいなら、「50m耐水(5ATM)」程度の防水性能が必要。
また「50m耐水(5ATM)」というのは、「水深50mまで潜っても大丈夫」という意味ではないこともこの表からは分かります。
「50m耐水(5ATM)」は、水深50mに相当する圧力に耐えられることは試験で証明済みですが、それはあくまで時計が静止した状態で一定時間のみ行われた試験の結果です。
実際に水深50mで腕時計を着用して動いてしまうと、より強い圧力がかかってしまうため、場合によっては圧力に耐えきれなくなってしまうケースがあるわけです。
日常生活レベルでは気にしないで平気!
少し難しい話になってしまいましたが、要するにスマートウォッチの防水性能は「IP67」「IP68」や「3ATM~5ATM(30m~50m耐水)程度あれば日常使用レベルではまったく問題なし」というわけです。
防水性能については、その程度の基準をクリアしていたら「まあ大丈夫か」と思うようにして、他の基準を重視してスマートウォッチを選ぶようにすれば、より自分に合ったモデルに出会えると思います!
なお、スマートウォッチを選ぶ際の基準については、下記の関連リンクで詳しく紹介していますので、ぜひ参考にどうぞ。
●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者7000人程度)でも各種レビューを行っています!
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