新型コロナウイルスの流行以降、街中では体温計が一時は完売となるなど、検温デバイスへの需要と注目は高まっています。赤外線を使った非接触型の体温計も店舗やイベント等では活用されていますが、精度にバラツキがあるのが現状。「コレ本当に測れてる?」という怪しい製品も一部で入り混じっています。スマートウオッチでも「体温が測れる」という格安製品が出回っていますが、眉唾ものと考えていいでしょう。
そんな中、開発の進む温度計測のウェアラブルデバイスで、信頼性も将来性もかなり高そうな注目製品を発見しました。今回の記事では、株式会社HERBIO(ハービオ)が開発を進めている「おへその周辺温度計測ウェアラブルセンサー」について紹介します。
サントリー、大正製薬などに研究用端末の貸与実績も
株式会社HERBIOの企業ロゴ
これまで深部体温の計測が行われていたのは、主に直腸や鼓膜。検温の際の侵襲性や違和感が課題とされてきました。そこで株式会社HERBIOは、おへそ周辺の体温と深部体温の相関性が確認されていることに着目。被験者やユーザーの負担が少なく、連続的に体温測定ができるウェアラブルセンサーの開発に着手したそうです。
現在の日本国内で、体温の連続測定が可能なウェアラブルセンサーのサービス展開を行っているのはHERBIOのみ。そのプロトタイプについては、研究用端末として有償での貸与実績を重ねています。同社がウェアラブルセンサーをリースした企業には、サントリーや大正製薬などの大企業が並んでいます。
感染症や病気の兆候の早期発見・診断補助への活用も視野に
現在もHERBIOのウェアラブルセンサーの改良は進行中。ハードウェア面では、「センサー自体がより安定的かつ詳細なデータを取得できるような機能を追加」「フィット感の改良」「軽量化」などを進めています。ソフトウェア面では、連続的な体温計測のデータを活かし、個人ごとに異なる平熱を定義づけたうえで、平熱時と発熱時の状態を分析。感染症や病気の兆候に対する早期発見・診断補助への活用を目指しているそうです。新型コロナウイルスの感染拡大中は、個々人の平熱には微妙な差があることも注目されましたが、HERBIOのウェアラブルセンサーはその定義づけと感染の発見にも活躍が期待されるわけです。
経済産業省 特許庁が主催するプログラムの支援企業に
経済産業省特許庁主催「知財アクセラレーションプログラムIPA2020」
なお治験に必要な体温データ取得のための、製薬会社へのセンサー貸与はすでに開始中。そしてHERBIOは今年6月には「令和2年度グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業費補助金」に、7月29日には経済産業省特許庁主催「知財アクセラレーションプログラムIPAS2020」に採択が決定。各種の補助やサポートを受けて、さらなる改良を進めている模様です。今後については、以下のようなメッセージを発表しており、この先の動向にも注目したいところです。
■今後について
HERBIOは、体温の連続測定を可能とするウェアラブルセンサーやサービスの開発を日本国内で唯一行っており、現在2020年の量産化を目指しています。将来的に病気や感染症の兆候に対し、早期に発見できる診断補助への活用などを目指していく上で、各医療機関や製薬会社、及び行政との取り組みなど、共同研究や多様なコラボレーションも視野に入れています。本アクセラレーションプログラムをとおし、ブラッシュアップした知財戦略を最大限活用しながら、HERBIOの技術とサービスを必要とするより多くの方々に届けるため、企業成長を一層加速させてまいります。
会社概要
会社名:株式会社HERBIO
代表者:田中彩諭理
所在地:〒151-0053 東京都渋谷区代々木3丁目53−1博鵬ビル4階
創立:2017年9月
事業内容:ウェアラブル体温計、体調管理アプリの開発、用途別アルゴリズムや体温を軸にした研究開発、健康食品の開発
URL:https://herbio.co.jp/